マッツェイMazzei
マッツェイ早わかりポイント
- 600年にわたりトスカーナの地でワインを造る歴史あるワイナリー
- マッツェイ家祖先はキャンティという名を公文書に残した最初の人
- 先代当主は20年にわたりキャンティ・クラシコ協会会長としてキャンティの復興に貢献
- 今でも高得点を連発する世界中から愛されているワイン
600年にわたり伝統を紡ぐトスカーナの名門
キャンティ クラシコはイタリアワインの中でも最も高く評価され、国際的に認知されているワインのひとつ。そのキャンティ・クラシコを長きに渡って支えてきた主要な生産者のひとつは間違いなくマッツェイ家です。
マッツェイ家は12世紀からワイン造りを行っている歴史あるワイナリー。ワインだけでなく、古くからトスカーナの政治と文化に深く関わってきたといいます。
今では、よく知られている「キャンティ」というワインの名に言及したのがフィレンツェの公証人であったマッツェイ家の祖先、セル・ラポ・マッツェイ。1398年にプラトーの商人フランチェスコ・ダティーニとの往復書簡内にキャンティ地方でワインが生産されていたことを残したのが公式に記録された最古の例とされています。
1435年に初めてフォンテルトーリの土地を所有したのは、セル・ラポ・マッツェイの孫娘、マドンナ・スメラルダ。以降、マッツェイ家は600 年以上もの間、先祖代々受け継がれる精神と情熱をもって、その土地のテロワールを表現したユニークなワインを生産してきました。
真のキャンティを保護するために
1716年、トスカーナ大公コジモ3世は、キャンティと名乗ることができる境界を定めました。しかし長い期間をかけてキャンティの知名度が上がるにつれて、品質よりも量を重視し本来の境界よりも広範囲の葡萄からキャンティが作られるようになっていきました。
これにより、キャンティ全体で品質のばらつきが発生し、従来の高品質なキャンティの評判が損なわれるリスクが生じてしまったのです。
この問題を解決するために尽力した一人がセル・ラポ・マッツェイの直系の子孫であるラポ・マッツェイ。1974年から20年間キャンティ・クラシコ協会の会長を務め、キャンティ・ワインのイメージを一新していきました。そしてラポ・マッツェイらの働きかけもあり、1984年には本来の境界内にある地域は『キャンティ・クラシコ』として原産地名称保護制度の最上位等級、DOCGに認定されたのです。
さらに進化する現在のマッツェイ
現在は、フィリッポ・マッツェイとフランチェスコ・マッツェイの兄弟が24代目当主として歴史あるワイナリーを経営。
ガンベロロッソ誌で合計36回のトレビッキエーリ獲得、ジェームス・サックリングにて90点以上を198回獲得するなど、世界中の愛好家から愛されているワイン造りを続けています。
また、1997年にトスカーナのマレンマに「テヌータ ディ ベルグァルド」を、2003年にはシチリアの南東部に「ジゾラ」という新しいワイナリーを設立。それぞれのテロワールとミクロクリマに適した土着品種の特徴を表現した、魅力的なワインを生み出し、新たなイタリアワインの魅力を発信しています。
ちなみに、18世紀に生きたマッツェイ家の祖先で、医師や商人でもあったフィリップ マッツェイは、後にアメリカ大統領となるトーマス ジェファーソンと親友だったそう。そのため、トーマスの依頼により、アメリカ・ヴァージニア州にアメリカ大陸最初のブドウ畑を作ったり、合衆国憲法の起草に一役買ったといわれています。
マッツェイでの栽培方法
ワイナリーの敷地は、「カステッリーナ・イン・キャンティ」を中心に、「ラッダ・イン・キャンティ」、「カステルヌオーヴォ・ベラルデンガ」といったキャンティ・クラシコに属する3つの自治体にまたがっています。
敷地は総面積650haに及び、そのうち、わずか110haがブドウ畑として使用されています。ブドウ畑は、テロワール別に7つのエリア(フォンテルートリ、バディオラ、ヴィコレジオ、シエピ、コルニア、カッジョロ、ベルヴェデーレ)に分けられ、標高220mから570mに位置しています。それらのゾーンは、さらに114の区画に細分化されています。
それ以外の土地には、ブドウ以外の作物や森林が広がり、さまざまな種類の野生動物が自由に生息する理想的な環境を形成しています。
栽培しているブドウ品種はサンジョヴェーゼ、メルロ、カベルネ ソーヴィニヨン、マルヴァジア ネーラ、コロリーノなどで、なかでも、サンジョヴェーゼは40年に渡り、マサルセレクションとクローンセレクションの研究を重ねてきました。結果、現在フォンテルートリの畑には、36の異なるバイオタイプが植えられ、その36種のサンジョヴェーゼのブレンドから「MIX36」が造られています。
マッツェイのワイン醸造について
2007年、マッツェイ家の一員であり建築家のアグネーゼ・マッツェイにより、天然の地形を活かしたセラーと最新の設備と規模を誇る醸造所が完成。
3階建ての建物のうち65%が地下にあり、ポンプを使わずに自然な重力を利用して果実・果汁を移動させるグラヴィティフローを採用した造りになっています。また、74のステンレスタンクを使用し、各区画で収穫されたブドウを区画ごとに別々に醸造。
発酵では ブドウにストレスをかけないパンピングオーバー(ルモンタージュ)は行わずパンチングダウン(ピジャージュ)のみ行っています。地下15mにある樽熟庫は岩壁から湧き出る天然水が流れ、適度な湿度と温度が保たれています。