ターリー ワイン セラーズTurley Wine Cellars
ターリー ワイン セラーズの早わかりポイント
- 古樹ジンファンデルにこだわるパーカー5つ星ワイナリー
- ありふれたジンファンデルをカルトワインに引き上げた最大の立役者
- 醸造家はワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選出された若手ホープ
古樹ジンファンデルに特化するパーカー5つ星ワイナリー
ターリー・ワイン・セラーズは、パーカー5つ星を獲得するカリフォルニアにおけるジンファンデルとプティ・シラーのトップ生産者。
創設者ラリー・ターリーは、カリスマ女性醸造家ヘレン・ターリーの弟。ラリーは、ナパの人気ワイナリー“フロッグス・リープ”設立者の一人であり、カリフォルニアではありふれたジンファンデル種をカルトワインというステータスにまで引き上げた最大の立役者です。
当時、大成功をおさめていたフロッグスリープ。しかしラリーは、オールド・ヴァイン(古樹)ジンファンデルの可能性に関心を持ち、“フロッグス・リープ”を離れます。カベルネ、ピノ・ノワール等の人気品種におされて伐採を危惧され、失われつつあった、古樹のジンファンデルの畑に新しい命を吹き込もうとしたのです。
1993年、ラリーは古樹のジンファンデルとプティ・シラーにスポットライトを当てたブティックワイナリー“ターリー・ワイン・セラーズ”を設立しました。
幾多の生命を救ってきた元 ER 医師として荒廃した葡萄樹も救ってみせると意気込んだラリーは、フロッグス・リープ・ワイナリーで確立したオーガニック農法をターリーにも取り入れました。
畑と葡萄の育成には、今も昔も非常に細やかな管理を行っており、自社畑は全てオーガニック推進団体“California Certified Organic Farmers(CCOF)”の認証を取得しており、発酵プロセスでは全て天然酵母を使用しています。
ターリーといえば以前はアルコール度数の高さと男性的で濃厚な果実味が目立っていましたが、現在のワインメーカーであるティーガン・パッサラクア就任後は既存のスタイルを受け継ぎつつ更に洗練されたワインを造り出しています。
一時期に比べ新樽率とアルコール度数を抑えており、ハイアルコールながら以前よりエレガントでスムーズに仕上がっています。
ターリーを支える歴代ワインメーカー
設立当初はラリーの姉であり、これまでに多くのカルトワインを手掛けてきたカリスマ女性醸造家でもあるヘレン・ターリーがワインメーカーを務めていました。
1995年、ヘレン・ターリーの退任後はアシスタントだったアレン・ジョーダンがワイン造りを引き継ぎました。アレンは、ジンファンデルとプティ・シラーで幾多のパーカー高得点を獲得しながらターリーのブランドとスタイルを構築していきました。
2013年アレン・ジョーダンが、自身のブランド“フェイラ”に集中する為に退任。以降現在に到るまで、ティーガン・パッサラクアがターリーのワインを造り続けています。
ニュージーランドのクラギー・レンジや、ローヌ、クローズ・エルミタージュを代表するアラン・グライヨ、南アフリカの著名生産者サディ・ファミリーでもインターンを経験した、ティーガンは、2005年からアレン・ジョーダンの下で栽培・醸造チームの一員として経験を積んできました。
2015年にはサンフランシスコ・クロニクル誌でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選出された若手のホープです。
オールド・ヴァインにフォーカスする理由
ターリーが古樹にこだわり、多大な労力と資金をかけるのは、オールド・ヴァイン・ジンファンデルを再生させ、次世代の為に保存したいという思いがあるからです。
元気過ぎて過剰に育ちがちな若木に比べて、古樹のブドウはずっと安定していて賢いといいます。畑の土壌と気候に適応している為、干ばつや雨期にも強く、均一に熟する事に加え収穫量も安定していて、自然とバランスの良い葡萄が作れるそう。
また古樹は小粒な果実を付けるので、より骨格とタンニンのしっかりした凝縮感のある味わいのワインが造れます。
もちろん、古樹にだけではワイン造りは継続できません。ターリーでは、現行の古樹と平行して若木の育成行っています。
育成中の若木を有効活用する為に造られたのがマルチ・ヴィンヤードの一つジュヴナイル。古樹の植えられている区画に再植林された若い木にタグ付けし、古樹とは別けて収穫・醸造します。
古木は素晴らしいワインを生みますが、若木も同様に方向性は違えど素晴らしいワインを生むというのがターリーの主張です。こうしたこだわりを持ち、ワイン造りを追求しているターリーには、カルト系のカベルネ・ソーヴィニヨン生産者に匹敵するメーリングリストのフォロワーがいます。