マヒMahi
マヒの早わかりポイント
- 果実味を全面に押し出すのではなく目指すのは口に入れた時のバランスの良さと満足感
- 余計なことはしない。極力自然に任せたワイン造り
- ジャンシス・ロビンソンによりトップ4ニュージーランド・ワイナリーに選出
- セレシン・エステートに世界的名声を与えたワインメーカー
「新しいマールボロらしさ」を表現し、確立した職人の技
マヒ・ワイナリーは、2001年にスタートしたニュージーランド・マールボロ地区のワイナリーです。
マヒ(Mahi)とは「作品」「手工芸品」といったような意味するマオリ語。ワイン造りに極力余計なことはせず、自然の良さを生かしたマールボロという場所を反映したワインにフォーカスしており、過去にジャンシス・ロビンソンの中で、トップ4ニュージーランド・ワイナリーに選出されました。
マヒのワイン全てにおいて共通することは、バランスの良さです。果実味・酸・タンニン・樽の風味など、どれか一つに突出することなく、完成されたワイン。
ワインのプロであるソムリエ達がこぞってマヒのワインを使い、一流のテイスターが好んでマヒを飲む理由がここにあります。
マヒが造り出すのは新しい『マールボロ』らしさ
1990年代後半ごろのマールボロのワインは、広域のブドウを混ぜた“リージョナル・ブレンド”という作りによって、それぞれのぶどう園が持つ個性が失われていました。そして、マールボロのワイナリーは大規模化され量産。海外メディアからは「マールボロは個性を失いつつあり、ほとんどのワインは同じ味である」と酷評され始めていました。
そこで、ブライアンはマールボロの土地でもワインの個性が表現されるべきと考え、「単一畑」でのワイン造りをスタートさせました。広域から収穫されたブドウではなく、その畑がもつ特徴をワインに反映させることを試みたのです。
現在、マヒのワインには、単一畑から収穫したブドウを使用するレンジと、2007年から新しく加わったマールボロのやや広域で収穫したブドウをブレンドしたレンジがあります。
ブドウは、同じ品種でも収穫された畑の場所や向きの違いで味わいが変わります。そのため、ステンレスタンクを使用してフレッシュさを表現したり、古樽でワインに丸みを持たせたり、時には新樽で奥行きとボリュームを出したりと、それぞれの個性に合わせたワインメイキングを行っています。
マヒでのワイン造りにおける信念
マヒでは、可能な限りシンプルで手作業のワイン造りを行うことで、素晴らしいワインを生み出しています。
手摘みでの収穫
手摘みでの収穫作業は、収穫時にブドウをの果実を傷めないだけでなく、ワイン造りに不適切なブドウを選果できるメリットがあります。機械を使わない分、時間や労力・コストがかかりますが理想のワインを造るための職人のこだわりです。
野生酵母のみを使用した醗酵
野生酵母というのは、ブドウの育つ畑やワイナリーに自然に存在する酵母のことです。酵母はブドウを発酵させる上で必要不可欠で、たくさんの種類があります。
ブライアン氏は、「ワインはその土地・その畑から全て表現できる」という信念のもと、畑やワイナリーに存在する酵母のみを使用します。管理された酵母を使うよりも発酵がコントロールしにくく、発酵のすすみが遅いなどワインメーカーの腕を試されますが、結果としてこれがマヒのワインに味わい深さや奥行きを与えるのです。
オーガニックを推し進めるのではなく当たり前であること
素晴らしいワインはすばらしいブドウから生まれます。マヒでは、素晴らしいブドウを育てるために土を育て、出来る限りの不要な農薬を使用しない取り組みをしています。そのためにオーガニック農法でブドウを作ることは、当たり前のことなのです。大量生産のワインには出来ない、これも職人の技です。
このような一つ一つのこだわりが、結果として世界中のワインファンから選ばれる、素晴らしいワインを造ることに繋がるのです。
オーナー兼ワインメーカーのブライアン・ビックネルについて
マヒのオーナー兼ワインメーカーのブライアン・ビックネルは、オーストラリアのローズワーシー大学でブドウの栽培を勉強した後、約15年間、世界のさまざまな地域でワイン造りを行っていました。
ハンガリーのトカイやイタリア、フランスの ボルドー地方で経験を積んだ後、今でこそチリの最大手ワイナリーとなった「エラスリス」で醸造責任者として野生酵母による醸造の基礎を築き、チーフワインメーカーとして英国への輸出量をチリワインで1番に押し上げます。
さらに1996年~2006年まではマールボロではセレシン・エステートで、ワインメーカー兼ジェネラルマネージャーとして40,000ケースを生産するワイナリーにまで仕立て上げ、名声あるワイナリーとして確立しました。
ブライアンは、2001年に彼自身のワイナリー『マヒ』を設立。そして2006年には、ワイナリーを購入。他社での仕事は完全に退き、自身のワイン造りに専念しています。