ダラ ヴァレDalla Valle

ダラ・ヴァレ早わかりポイント
- 90年代に一世を風靡した元祖カルトワインのひとつ
- フラッグシップの“マヤ”は米国で2番目にワイン・アドヴォケイト満点を獲得
- マヤは1994年以降ワイン・アドヴォケイト100点を7回も獲得
- まるで銀座の一等地。ワイナリーがあるのは高級ワイナリーひしめくオークヴィル
- ワイナリーの舵取りを担うのは日本人女性ナオコさんと娘のマヤさん母娘
- 歴代錚々たるワインメーカーがダラ・ヴァレのワイン造りを担う
ナオコ&マヤ母娘が二人三脚で手掛ける最高峰のナパカルトワイン

ダラ・ヴァレは、1986年にナオコ&グスタフ・ダラ・ヴァレ夫妻によってナパ・ヴァレー、オークヴィル地区に設立された家族経営のワイナリーです。
オークヴィル地区といえば、高級ワイナリーがひしめく銀座の一等地ともいうべき場所。ダラ・ヴァレのワイナリーと自社畑は、シルヴァラード・トレイルを望む東側の丘陵地にあり、近隣にはスクリーミング・イーグルやハーランのセントエデンヴィンヤードなど、世界有数のワイナリーや銘醸畑が軒を連ねています。
ダラ・ヴァレのフラッグシップワインは、“マヤ”。初リリースから4年目の1992年ヴィンテージ以降、ワイン・アドヴォケイト誌から7回もの100点満点評価を受けており、90年代からカルトワインの1つとして君臨しています。
現在、ダラ・ヴァレはナオコさんと娘のマヤさんが中心となり運営。2021年にはマヤさんがワインメーカーに就任しました。「世界に誇る偉大なワイン」というヴィジョンのもと始まったワイン造りは、次の世代へと着実に引き継がれています。
ダラ・ヴァレの歴史


ナオコ&グスタフ・ダラ・ヴァレ夫妻は、もともとカリブ海でワインとは無関係の事業をしていました。
あるとき、レストランとスパをオープンする場所を探してナパを訪れるように。何度も訪問し、その美しい景色を見るうちに、二人はすっかりナパに心を奪われてしまい定住を決意します。そして1982年、オークヴィルの東の丘にある25エーカーの土地を購入しました。
この場所を購入するとすぐにグスタフはナオコにワインを造ると宣言。敷地内にはもともと5エーカーに満たないほどのジンファンデルの樹が植えられていたのです。
偶然にも、グスタフは北イタリアの出身で、175年以上にわたってワイン造りに携わる家系の生まれでした。一方、ナオコは神戸出身で先祖が酒造家だったそう。こうした背景を持つ二人にとって、ナパでワイン造りを始めるのは必然だったのかもしれません。
1984年、ダラ・ヴァレ夫妻は敷地にあるジンファンデルの樹にカベルネ ソーヴィニヨンを接ぎ木。さらに同じ年、隣接する土地を購入し、15エーカーのカベルネ ソーヴィニヨンやカベルネフランなどを植えていきました。
ヒルサイドでの挑戦


ダラ・ヴァレ夫妻は当時「なぜナパ・ヴァレーの中央に広がる平地ではなくわざわざヒルサイドのブドウを使うのか?」と周囲に反対されたと言います。
平地と比べて、作業が大変で収量も少ない斜面でのブドウ栽培は割に合わないと思われていたのです。今でこそ多くなった、ナパの山岳部やヒルサイドでブドウを栽培するワイナリーは、当時は数えるほどしか存在せず、ダラ・ヴァレが先駆けのような存在でした。
フラッグシップ“マヤ”の誕生


ダラ・ヴァレが最初のワインを手掛けたのは1986年ヴィンテージ。自身の畑から収穫したカベルネソーヴィニヨンから造ったワインでした。
翌年の1987年には、隣人から別の5エーカーの小さな区画を購入。この区画を同年に生まれた娘の名前と同じ“マヤ”と名付けました。この区画のブドウを使った“マヤ”は、すぐにダラ・ヴァレのフラグシップワインとして不動の人気を獲得することになります。
1988年、ダラ・ヴァレはカベルネソーヴィニヨンとカベルネフランのブレンドワイン“マヤ”を発表。そして、初リリースのわずか4年後の1992年ヴィンテージは、1995年10月に伝説的な評論家ロバート・パーカーが発行するワイン・アドヴォケイト誌から100点満点を獲得します。ワイン・アドヴォケイト満点を獲得したアメリカワインは“マヤ”が2番目であり、これがダラ・ヴァレの人気を決定づける大きな要因となりました。
この“マヤ”は以降もワイン・アドヴォケイト誌高得点を連発。現在までに7回の100点満点評価を受けています。
グスタフ亡き後のワイナリー運営
1995年、ワイナリーとしての素晴らしいニュースがあった一方、同年12月に夫グスタフが亡くなってしまいました。そんな中でもロバート・パーカーの計らいで、マヤが100点になった号のワイン・アドヴォケイト誌は夫妻の手元に届き、グスタフは最後に良いニュースを聞くことができたといいます。
グスタフ亡き後、ワイナリーの舵取りがナオコに託されたちょうど同じ頃、自社畑はブドウの台木が土壌に合わず、病害に悩まされ始めました。一人で立ち向かうことになったナオコは、今までワイン醸造を担っていたハイジ・バレットに変わって、醸造だけでなく、ブドウ園管理にも詳しいトニー・ソーターとそのアシスタントのミア・クラインを起用することに決めました。
トニー・ソーター指導の下、ブドウ園全体が少しずつ植え替えられていきました。ナオコの助けとなったのはトニー・ソーターだけではありません。周囲の多くの人に助けられてきたとナオコは語っています。とても大変だったけれど、一度もワイナリーを離れることは考えたことがなかったと。
新世代へのバトン
その後も、ダラ・ヴァレではフィリップ・メルカ、アンディ・エリクソンを歴代ワインメーカーに、またコンサルティング・醸造家としてミシェル・ロランを起用するなど錚々たるメンバーがワイナリーの脇を固めています。
そして2017年、娘のマヤがディレクターとしてワイナリーに参画。2021年にはダラ・ヴァレのワインメーカーに就任しました。小さな頃からダラ・ヴァレを見て育ち、世界の著名ワイナリーで経験を積んできたマヤが加わり、ワイナリーは次世代に引き継がれていっています。
ダラ・ヴァレのロゴマークについて

ダラ・ヴァレの創設者、グスタフ・ダラ・ヴァレは、ナパ・ヴァレーにやってくる前、スキューバダイビング界のパイオニアとして広く知られた人物でした。
グスタフは若い頃から海に魅せられ、ハイチでのダイビング・ツーリズムを始めたパイオニア。さらに世界を代表するダイビングブランドSCUBAPROを立ち上げた共同創設者の一人です。その功績が称えられ、2000年にはInternational Scuba Diving Hall of Fameの殿堂入りを果たしています。
そんなグスタフが設立したワイナリー“ダラ・ヴァレ”のロゴマークには壺のようなマークが見て取れます。これは、グスタフがかつて地中海で見つけた、フェニキア時代のアンフォラを模したもの。このアンフォラは、現在もワイナリーに飾られているそう。
過去と海への愛、そして現在とワインへの愛を結びつける象徴となっています。
ダラ・ヴァレで手腕を振るった歴代のワインメーカーたち
ダラ・ヴァレにおけるワインメーカーの変遷もオールスターと呼ぶにふさわしい錚々たるメンバー揃い。初代のワインメーカーはチャールズ・クリュッグやシャペレなどでも活躍したジョー・カファロ。
そして2年後、ジョーから引き継いだのは“カルトカベルネの女王”と呼ばれるようになる若き日のハイジ・バレットでした。彼女は、在籍期間中にダラ・ヴァレ初の100点ワイン“マヤ”を生み出しました。
その後もトニー・ソーター、ミア・クライン、アンディ・エリクソン、ミシェル・ロランといった豪華な顔ぶれがダラ・ヴァレの醸造のバトンを繋いでいく中、2021年からナオコの娘マヤがワインメーカーに就任しました。
マヤが選んだワインへの挑戦

幼少期から、名醸造家たちが働くダラ・ヴァレで育ったマヤでしたが、最初からワイン造りに興味があったわけではありません。
高校卒業後はワシントン大学で国際関係学を専攻。当時はNGOや外交官を目指していたといいます。でも、あるとき収穫の仕事をきっかけにワインの虜になってしまったんです。
ダラ・ヴァレでワイン造りをしたいと考えたマヤでしたが、『ワイン醸造学の学位を取得しなければインターンであっても迎えることはできない』という母ナオコの言葉に再び学びの道に向かいます。
2013年にコーネル大学でブドウ栽培と醸造学の修士号取得。フランスの名門ボルドー・サイエンス・アグロでは、ブドウ畑・ワイナリー管理に関するビジネスと科学の修士号を取得しました。
同時に、イタリアの名門オルネライア、アルゼンチンのボデガ・ロラン、そしてフランスのペトリュスとシャトー・ラトゥールでワイン造りの経験を積みダラ・ヴァレに。マヤは2017年からダラ・ヴァレのディレクターとして母のワイナリーに参画。そして2021年には、ついに念願だったワインメーカーのポジションに就きました。
ダラ・ヴァレのブドウ畑と栽培について

ダラ・ヴァレの自社畑が位置するのは、オークヴィルの東側丘陵地。標高は450フィートにまで達し、谷床の平地と山岳地帯、それぞれの特性を絶妙に兼ね備えています。
主に西向きの斜面でたっぷりと日差しを受ける一方、サンパブロ湾から吹き付ける涼風がブドウの自然な酸を保たせる重要な役割を果たします。また、ダラ・ヴァレならではのミネラル豊富な火山性土壌は排水性に優れ、ブドウの樹に適度なストレスを与えることで、奥行きのある凝縮した果実を育むのです。
この畑は「ブドウ栽培」よりもむしろ「ワイン造り」にフォーカスした専任チームによって管理されています。代々続く持続可能な姿勢を大切にしてきたダラ・ヴァレでは、2007年よりオーガニック農法を導入し、CCOF(カリフォルニア有機農業連盟)の認証を取得。2019年からはビオディナミ農法に移行し、包括的な健全性と活力を目指して多彩なカバークロップを植えたり、各ブロックの状況に合わせて有機肥料や堆肥を活用するなどのアプローチを徹底しています。
ダラ・ヴァレが手掛けるワインのラインナップ
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コリーナ
若木からつくるダラ・ヴァレの入門編となる飲みやすいワイン。イタリア語で“谷にある丘”の意味。 -
カベルネソーヴィニヨン
ダラ・ヴァレで最初に造られたワイン。常に少量のカベルネ フランとブレンドされたカベルネは、ダラ・ヴァレ ヴィンヤードのテロワールの美しさを表現。 -
マヤ
創業者のナオコとグスタフの娘にちなんで名付けられたマヤは、自社畑の中でも特別なマヤズ ヴィンヤードのカベルネ ソーヴィニヨンと厳選された最高のカベルネ フランをブレンドしたフラッグシップ。 -
MDV
特別な年にのみ生産されるメーリングリスト限定のワイン。マヤズ・ヴィンヤード産のカベルネ・ソーヴィニヨンを100%使用。 -
ピエトレ・ロッセ
元々1990年代にダラ・ヴァレで造られていたワインをマヤ・ダラ・ヴァレが復活。かつては、サンジョヴェーゼとカベルネソーヴィニヨンのブレンドワインとして生産されていましたが、復活後の2018年からはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドのブレンドに。これには、新たに導入した“アンフォラでの熟成”を経たカベルネ・フランが一基分含まれています。
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