ハーラン エステートHarlan Estate
ハーラン・エステート早わかりポイント
- 不動産業で成功した男、ウィリアム・ハーランが実現した“ワイン造りの夢”
- パーカー100点満点10回も獲得する脅威のナパカルト
- 目指したのは仏・ボルドーの格付け第一級に匹敵するカリフォルニア・ワイン
- 新世界カリフォルニアで親子二代が継ぐ“200年計画”
ワイン通なら垂涎のナパ・ヴァレー・カルトワイン
ハーラン・エステートは、ナパ・ヴァレーにおけるカルトワインの筆頭として知られ、「世界の頂点に迫る完璧な芸術品」。
不動産事業で成功を収めた創業者ウィリアム・ハーランが、「オークヴィルから仏・ボルドーの格付け第一級に匹敵するカリフォルニア・ワインを造る」というヴィジョンに基づき、1984年に設立しました。
ワイナリーはオークヴィルの西の丘陵に位置し、所有面積は97ヘクタール(ha)。
海抜68mから374mの北向き、北東向き斜面に点在する伝説的な自社畑を造成し、ヨーロッパが何百年もかかって培ってきた伝統と技術を、歴史に学び、科学的リサーチを駆使することにより新旧世界の差を一気に縮めることに成功しました。
その品質は高く評価されており、ワイン評論家ロバート・パーカーJr.からこれまでに10回、100点満点を獲得し、揺るぎないトップカルトの名声を確立しています。
ワイナリーは「200年計画」を掲げ、世代を超えて価値を積み重ねていくことを理念としています。
2024年に設立40周年を迎え世代交代を進めており、2021年には創業者ウィリアム・ハーランが会長職に就任し、息子ウィル・ハーランが経営を引き継ぎました。
また造り手の継承も進んでいます。創業以来ディレクターを務めてきたドン・ウィーヴァーからフランソワ・ヴィニョオへ、同じく創業時からのエステート・ワインメーカーであるボブ・レヴィからコーリー・エンプティングへと引き継がれています。親子二代のヴィジョンと、世代を超えて受け継がれる醸造チームの技術が、ブランドの未来を形づくっているのです。
“不動産とワイン”二つの成功を収めた男
創業者のウィリアム・ハーランがワインを“職業”とするまでには、非常に多様で冒険的な道のりがありました。
若い頃からの“ワインとの縁”
ウィリアム・ハーランがワインに興味を持ち始めたのは、カリフォルニア大学在学中の1950年代。この頃のナパは、禁酒法を生き延びたワイナリーがいくつかあるだけの静かな場所でした。彼は、何度かナパを訪れ、提供されるワインをテイスティングするうちに、“いつの日か自身のワイナリーを持ちたい”という夢を抱くようになったといいます。
型破りなキャリアと不動産での成功
ワインへの興味はあった一方で、ウィリアム・ハーランの人生の前半、青年期に進んだキャリアは“ワイン造り”とはかけ離れたものでした。
大学卒業後の彼は、世界を旅する冒険家でした。海洋調査船の船員や、ポーカープレイヤーだったこともあるといいます。
そんな彼が、大成功を収めたのが1970年代に始めた不動産業。1975年にビジネスパートナーと共にパシフィック・ユニオン・ランド・カンパニーを設立し、サンフランシスコ・ベイエリアで大きな成功を収めます。彼の不動産における成功が、後に資金面で彼が抱くワイン造りの夢を支えることになりました。
不動産からワイン業界へ
彼がワインの世界に踏み込んだきっかけは、不動産事業が導いたものでした。
1979年。ナパヴァレー内にある経営難のカントリークラブ「メドウッド」を購入してホテルリゾートの経営をはじめたことがきっかけでした。のちに、この場所では第一回“ナパバレー・ワイン・オークション”を開催することになるのですが、このオークションを始めるようウィリアムを説得したのが、カリフォルニアワインの父ロバート・モンダヴィだったといいます。
1980年、ナパ・ヴァレー・ワイン・オークションの参考のため、ウィリアム・ハーランはロバート・モンダヴィらとフランスへの研修旅行に出かけます。ブルゴーニュで有名なオークション“オスピス・ド・ボーヌ”やブルゴーニュグラン・クリュ生産者、ボルドーの1級シャトーを巡りました。
このツアーでシャトーを視察し、何世代にもわたってドメーヌを受け継いできた家族を目の当たりにしたウィリアムは、深い感銘を受け「200年計画」という壮大なヴィジョンを掲げ、ナパ・バレーに代々受け継がれるワイン造りのドメーヌを創設することを決意しました。
“200年計画”を胸に、ワイン造りの世界へ
ヨーロッパでの確信を経て、ハーラン氏は本格的にワイン造りに参入します。
1983年、彼はメリーヴェイルを共同出資というかたちで設立。ここで、後にハーラン・ファミリーのワイン造りを支えることになるワインメーカー、ボブ・レヴィと共に仕事を始めました。
その一方で、その一方で、ハーランは自身の“200年計画”を具現化するプロジェクトとして、1984年にハーラン・エステートの構想をスタートさせます。それはナパ・ヴァレーで「ボルドーのグラン・ヴァン」に匹敵するワインをつくるという壮大な挑戦です。
当時のナパでは平地でのブドウ栽培が一般的でした。しかし、ウィリアム・ハーランは違いました。『ヨーロッパの偉大なワインの多くは斜面の畑から生まれる』という結論のもと、丘陵地の区画のみに絞って候補地を探すようになりました。
それから土地選びのため、地道な研究と調査を行うこと15年。1980年代半ばになってようやくナパの中心地帯であるオークヴィルの西に位置する丘陵にある、未開発の森林(約16ヘクタール)を切り開きました。ワイナリーはこのあと少しずつ買い広げ、現在では約97ヘクタールあります。
1990年ヴィンテージが最初のリリースとなったハーランは、発表と同時に一大センセーションを巻き起こし、ワイン評論家ロバート・パーカーJr.からこれまでに10回、100点満点を獲得。瞬く間にカリフォルニア・ワインの最高峰に上り詰めました。
ハーランは、ボルドーが数世紀かけて作り上げたグラン・ヴァンのクォリティを20年足らずで造りあげたのです。
ハーランはその後も、畑の個性を最大限に引き出すボンドをはじめ、より広いヴィジョンをもってプロモントリー、ザ・マスコットといった異なるコンセプトのブランドを立ち上げ、ナパ・ヴァレーにおける“ウィリアム・ハーランの世界”をより豊かに広げています。
ハーラン・エステートのブランド一覧
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ハーラン
ナパ・ヴァレーにおけるカルトワインの筆頭でありハーランのメインブランド。 「オークヴィルからボルドー格付け第一級に匹敵するカリフォルニア・ワインを造る」という理念の基につくられました。 -
ザ・メイデン
ザ・メイデンは”ハーラン”のセカンド・セレクション。ファースト・ヴィンテージは1995年。使用果実はハーラン・エステートと全く同じだが、品種構成はカベルネ・フランの比率が高いといいます。 -
ボンド
ナパ・ヴァレー中から選び抜いた5つの優れた畑の個性を、カベルネ・ソーヴィニヨンの単一品種で表現するナパの“グラン・クリュ” -
メイトリアーク
ボンドのシングル・ヴィンヤーズのブドウを使ったマルチ・ヴィンヤーズ・キュヴェ。ボンドよりややアプローチしやすい味わいのキュヴェを厳しく識別しブレンドが決められる。 -
プロモントリー
周囲から隔絶された「秘境」とも呼ばれる自然のままの土地で、ハーランの次世代(2代目ウィル・ハーラン)と次世代の栽培・醸造チームが協力して立ち上げた新プロジェクト。 -
ザ・マスコット
ハーラン、ボンド、プロモントリーの樹齢15年未満の若木や、高品質ながらも最終的に各ワインにボトリングされなかったワインをブレンドした、血統正しきハーランのエントリー・ワイン

