フェルトン ロードFelton Road
フェルトン・ロードの早わかりポイント
- 初リリースがワイン評論家ロバート・パーカーの目に止まり一躍世界的ワイナリーに
- ニュージーランドでたった5軒の“ロバート・パーカー5つ星ワイナリー”
- セントラル・オタゴ産ワインの国際的な知名度を上げた立役者
- Drinks International誌“賞賛すべきワインブランド”6年連続選出
- 創設当初から変わらずワインを造るのは天才醸造家ブレア・ウォルター
セントラル・オタゴを世界的ピノノワールの産地に押し上げたレジェンド
フェルトンロードは、ニュージーランド・南島にある冷涼なセントラル・オタゴのバノックバーン地区にあるワイナリー。ここでは、ピノノワール、シャルドネ、リースリングに加えて、少量のソーヴィニヨンブランが造られています。
1997年、初リリースとなるピノ・ノワールにワイン評論家のロバート・パーカーが高得点を付けたことでフェルトン・ロード・ワイナリーだけでなく、セントラル・オタゴ地域が一躍世界の注目を集めました。現在、フェルトン・ロードのピノノワールは、ニュージーランドで最も手に入りにくいワインと言われています。
フェルトン・ロードが優れているのはピノノワールだけではありません。
リリースと同時に売切れてしまうほど人気のリースリングは、鋼のように強い酸味と凝縮した香りを持ち、ドイツ・ワインを連想させます。また、シャルドネはフリンティーさこそ強くありませんが、強い酸味と上品な果実とマロラクティック発酵による栗やバターを思わせるコクがシャブリ・グラン・クリュのようです。
ヨーロッパを強く意識させながらニュージーランドの持つ嫌味のなさ、ピュアで上品な味わい、若いうちから楽しめるバランスの良さを兼ね備えているのがフェルトン・ロードの個性であり人気の秘密でしょう。
社長ワッシーのお気に入りは“カルヴァート・ピノ”
実は、“カルヴァート・ピノノワール”を初めて日本に輸入したのはワッシーズ。2007年、社長ワッシーはニュージーランドのフェルトンロード・ワイナリーを訪問しました。
その時、ワインメーカーのブレアが試飲させてくれたのがリリース前の初ヴィンテージとなるカルヴァート。当時、カルヴァートは日本未輸入でしたが、その品質の良さに社長ワッシーは感動!その場でブレアと交渉し、日本初輸入が決定。2006年ヴィンテージはワッシーズが日本独占販売となりました。
初リリースから絶賛される天才醸造家ブレア・ウォルター
フェルトンロードを語る上で一番に知っていただきたいのは、設立当初からワインメーカーを務める、ブレア・ウォルターの存在。
ブレア・ウォルターはニュージーランド北島ワイカトの農家の生まれ。父親がパイロットとして飛行機で肥料散布事業をしていた影響で、子どもの頃から農業が大好きでした。そのため、南島クライストチャーチのリンカーン大学農学部へ進学。そこでワインへの好奇心が深まり、大学院に新設された1年間の醸造・栽培学修士課程に進みました。
卒業後、ニュージーランド、オーストラリア、ナパ・ヴァレー、オレゴン、ブルゴーニュで経験を積んだブレアは1996年にフェルトンロードに入社。その翌年、フェルトン・ロードとして初めてのピノノワールがブレアの手によってリリースされました。
このピノノワールに目を止めたのが、世界的ワイン評論家のロバート・パーカー。
彼は、『フェルトン・ロードと、醸造家ブレア・ウォルターに賛辞をおくりたい。このピノノワールはブルゴーニュのグラン・クリュとのブラインドテイスティングしても十分に通用する。』と太鼓判を押したのです。
これをきっかけにフェルトン・ロードは一躍人気ワイナリーの仲間入りを果たします。フェルトン・ロードが得た評判は、自分たちのワイナリーだけに留まらず、セントラル・オタゴで造るワインの全体の評価を上げ、この地域を国際的なワイン産地に押し上げていきました。
天才醸造家ブレアを支えた新旧二人のオーナー
フェルトン・ロードの醸造家は、設立から変わらずブレア・ウォルターが手掛けていますが、オーナーは2000年に一度変わっています。
創設当時のオーナーであるスチュワート・エルムズと、現オーナーのナイジェル・グリーニング。この新旧2人のオーナーは共にフェルトン・ロードにとってなくてはならない存在。ブレアも十分に能力を発揮できていなかったかもしれません。
理想の畑を探し出した初代オーナー、スチュワート・エルムズ
スチュワート・エルムズは、フェルトン・ロードの創立時オーナー。
フェルトン・ロードの始まりは1990年。当時50歳のスチュワート・エルムズの大胆な行動からスタートします。これまで行っていたカシス農園経営を辞めて学校に戻るというのです。スチュワート・エルムズは、リンカーン大学のブドウ栽培とワイン科学のコースに入学しました。
卒業後のスチュワートの目標は、素晴らしいピノノワールを造ることでした。そこで、スチュワートは理想の土地を見つけるために土壌や気候を徹底的に調査。1992年、ついにワイン造りに完璧な場所を見つけました。
そこは、バノックバーンのフェルトン・ロード(Felton Road)からすぐの場所にある斜面でした。当時この場所は、干し草農家が所有していましたが、スチュワートが説得の末に買い上げ、綿密な計画の下にブドウを植えつけて、エルムズ・ヴィンヤードと名付けました。
フェルトン・ロードとして初めてのワイン造りは1997年。醸造を担ったのは前年に入社したブレア・ウォルターでした。
実はスチュワートとブレアは、ただのオーナーと醸造家ではありません。二人はリンカーン大学時代の同級生。クラスで最年少のブレアとワインにのめり込んでいた熟年のスチュワート・エルムズは、当時ラボ・パートナーとして組み、ともに学んだ仲でした。
在学当時、2人は卒業後の再会を約束。スチュワートはブドウ栽培に理想的な土地を探すためにセントラル・オタゴへ向かい、その間、ブレアは世界中でワインづくりを経験していたのです。
スチュワートの見つけた理想の地と、ブレアが世界中で身につけた経験。この2つが揃って「フェルトン・ロード」が誕生しました。
明確なビジョンで導いたナイジェル・グリーニング
ナイジェル・グリーニングは、フェルトン・ロードの現在のオーナー。ワインメーカーのブレア曰く、ナイジェル・グリーニングを一言で紹介するならば『フェルトン・ロードのワインが好きなあまりワイナリーを購入した人』だといいます。
イギリスでイベント制作会社を経営していたナイジェルは1998年クリエイティブ・ディレクターの仕事のプロジェクトでセントラル・オタゴに滞在。このとき、25年来の熱心なブルゴーニュ・ファンであった彼でしたが、セントラル・オタゴのピノノワールに感銘を受けて自らピノノワールを探究したいと考えるようになりました。
ナイジェルは、ギブストンバレーの創設者でセントラル・オタゴのレジェンド、アラン・ブレイディのアドバイスを受けて、地質図や気象図を調べながら理想の土地を調査。1999年、アプリコットの果樹園だったコーニッシュ・ポイントを購入します。じつはこの場所、フェルトン・ロードにほど近く。ブドウ栽培は、フェルトン・ロードのスチュワートに教わりながら行っていったといいます。
ほどなくして、ナイジェルの耳にフェルトン・ロードが売りに出されたという知らせが入ってきました。フェルトン・ロードの大ファンを豪語するナイジェルは、たとえ全財産を投じてでも、このワイナリーを買おうと決心。『大手ワイナリーが買収に名乗りを上げた』という噂を聞き意気込んでいたナイジェルでしたが、交渉はたったの3日で成立しました。
ナイジェルはフェルトン・ロードのオーナーになった日の夜、ブレアと一緒にビールを飲みながら、フェルトン・ロードの今後について2人で10年計画を書き上げました。
“ワイナリーは稼働効率のよいサイズであると同時に、我々がハンドクラフトワインの生産者でいられるくらい小さな規模である必要もある。生産量は年間400樽、12,000ケース”
それから10年後、再び将来の計画を話し合おうとしたところ、ブレアは10年前と全く同じ紙をテーブルに置いたのです。『我々は当初の目的を達成し、その後もプランを変える必要はない』と感じたわけです。
オーナーであるナイジェルの強靭な忍耐力としっかりとしたヴィジョンがあったからこそ、フェルトン・ロードが急成長し、人気が現在まで続いているのかもしれません。
フェルトン・ロードへの世界的評価
バノックバーン・ピノノワールが過去3度に渡りワインスペクテイターTOP100に選出
フェルトン・ロードのバノックバーン・ピノノワールは、ワインスペクテイター誌が年に一度、発表する年間TOP100ワインにおいて、2015年【49位】・2018年【12位】、2020年【14位】と3回に渡ってランクインを果たしています。
ロバート・パーカー5つ星ワイナリー
2008年に世界的ワイン評論家ロバート・パーカーが出版した『ワインバイヤーズガイド第7版』において、フェルトン・ロードは5つ星を獲得。最高評価である5つ星を獲得するワイナリーは世界でもごくわずかしかおらず、ニュージーランドのワイナリーでは、フェルトン・ロードの他にアタ・ランギ、リッポン、テ・マタ・エステート、ペガサスベイの5軒のみでした。
パーカーは5つ星ワイナリーの選考基準としてを、『特定のブドウ栽培地域で最も優れたワインを造り、良い年でも悪い年でも、一貫して信頼できるワイナリーであること。』としています。
グレート・ニュージーランド・ピノノワール・クラシフィケーション5つ星
2019年、英国のワイン評論家マシュー・ジュークス氏とオーストラリアのワイン評論家タイソン・ステルツァー氏が“ニュージーランドの最高のピノノワール”を称えるために発表した「第8回 グレート・ニュージーランド・ピノノワール・クラシフィケーション」で最高評価5つ星を獲得。512ワイナリーの中から選ばれた5つ星の生産者は、わずか7社のみでした。
この評価は、スポンサーや後援を受けずに審査し、最新5ヴィンテージにおける平均評価に基づいて行われたため、フェルトン・ロードのワインが一貫してトップレベルの品質を保っている事がうかがえます。
Drinks International誌“賞賛すべきワインブランド”6年連続選出
”Drinks International”誌主催の「賞賛すべきワインブランド(TheWorldʼsMost Admired Wine Brand)」は、世界のトップクラスの酒類業界関係者(マスター・オブ・ワイン、ソムリエ、買い付け業者、ワインエデュケーター、ジャーナリスト)200人以上の投票で選出されます。
2022年3月、フェルトン・ロードは19位に選出。これにより6年連続のランクインとなります。
フェルトン・ロードの4つの自社畑
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エルムズ・ヴィンヤード(14.4ha)
スチュワート・エルムズが1991年に興した畑で、ワイナリーに隣接。エルムズヴィンヤードは、13区画に分けられており、ブロックごとに個性的なブドウが育ちます。植付けの半分はピノ・ノワール、残り半分はシャルドネとリースリングが緩やかな北向き斜面で栽培。100%バイオダイナミック栽培(デメター認証)土壌は片岩粘土質、砂質レス(⻩土)土壌が混じる。
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コーニッシュ・ポイント(7.6 ha)
クルタ川とカワラウ川が交差する川辺に突き出た場所にあり、湖に近いことから霜害が少ない。片岩砂利質上層をレス土壌が覆う。ピノ・ノワールは 18のクローンと台木を組み合わせ植えられている。この畑のブドウからは、濃厚な果実味と、柔らかな酸、丸く整ったタンニンを持つ、温かく魅力的なワインが造られます。100%バイオダイナミック栽培(デメター認証)
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カルヴァート・ヴィンヤード(4.6ha)
オーウェン・カルヴァートが興した畑で、エルムズから1km東に位置するオーウェン・カルヴァートが興した畑。深いシルト土壌で、古代湖床粘土上層を石英片岩礫が覆っている。ワインは素晴らしいテクスチャーと口当たりで、フローラルなアロマと熟したダークフルーツが特徴。タンニンは繊細で焦点が定まっており、独特のミネラル感があります。100%バイオダイナミック栽培(デメター認証)
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マクミュアー・ヴィンヤード(5.1ha)
元々はカルヴァートの一部。エルムズ・ヴィンヤードの東1kmに位置し、2001年からフェルトン・ロードが栽培管理を⾏っている。2010年にフェルトン・ロードがカルヴァートから5.1haを購入。土壌は深いシルトローム層で、⻩土の浅い表土に石英、シスト、湖床堆積物が混じる。近い将来、単一畑としてワインをリリースする予定。