スモール フォレストSmall Forest
スモール フォレスト早わかりポイント
- “日本初の女性醸造家”で“オーストラリア唯一の日本人醸造家”の小林敦子さん
- ワイン造りだけでなく日本での酒造りも経験する二刀流
- 日本酒とワインの経験を買われ世界的なワインコンペIWCのSake部門の審査員を務める
日本酒とワイン、双方を知る異色の日本人醸造家
スモールフォレストは、オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州の銘醸地ハンターヴァレーにあるワイナリー。
ハンターヴァレーは、ワイン大国オーストラリアの中でも、商業規模でワインが造られた最古の場所。
中でもスモールフォレストが位置するアッパーハンターヴァレーは、オーストラリアを代表するワイナリー“ペンフォールド”を始め、オーストラリアワイン業界を築いた多くの先人たちがワイン造りを経験した特別な場所です。
この地でワイン造りから販売に至るまで一人でワイン造りを行うのはアツコ・ラドクリフ(小林敦子)さん。敦子さんは、日本・フランス・オーストラリア等で30年以上に渡るワイン造りの経験を持ち、蔵人として日本酒造りを行ったこともある非常に珍しい経歴の持ち主です。
和の心を込めて、広大なアッパーハンターの自然と共に生み出すワインは、一口飲むと優しさを感じるような柔らかい口当たりとたっぷりの旨味が特徴。ぜひ和食と一緒に楽しんでいただきたいワインです。
“日本初の女性醸造家”で“豪州唯一の日本人醸造家”の敦子ラドクリフさんの経歴
東京農業大学の短期大学部で醸造学を学んだ敦子さん。当初は、日本酒造りに憧れを持っていたといいます。しかし、80年代当時の格式や伝統を重んじる和酒の世界では、女性が働く門戸は開かれず、1984年に協和発酵に就職します。
協和発酵では、品質管理や分析の仕事を務めていましたが、敦子さんは『本当に自身がやりたい仕事』を求め、再び醸造の道へ。
進んだのは、日本酒業界ではなくワイン醸造の道でした。
1987年からの3年間、栃木のココファームでワインの醸造を手がけた後、1990年からは友人とワインコンサルティング事業を行う会社を起業。
コンサルタント業務において、都農ワイン(宮崎)を立ち上げから参加した他、シャトー酒折(山梨)安曇野ワイン(長野)、奥出雲ワイン(島根)へのコンサルタント等、醸造や醸造機械選定に至るまで数社のワイナリーと関わりました。
海外でもフランス(ボジョレー、ムルソー、ボルドー)やオーストラリア(クナワラ、ヤラヴァレー、西オーストラリア)と数々のワイン産地でワイン造りの経験を積ん行きました。
この海外での研修時、オーストラリアのアッパーハンターバレーにあるローズマウント社からリザーブ・ワインメーカーとして誘いを受けたことがきっかけで、オーストラリアへ移住。当時オーストラリアで5番目に大きな会社で、3万樽にも及ぶワインを担当しました。
その後2008年までにはヤラ・イエリング、ハンターバレーのワイナリーでワインメーカーとしてヴィンテージを経験。2013年、ついに自身のワイナリーである『スモールフォレスト』を設立しました。
ワイナリーは敦子さんの日本の苗字(小林)を直訳して“SMALL FOREST”と名付け、敦子さんの家紋である藤の花をラベルに描いています。
実は、スモールフォレストを設立するまでの間に敦子さんの当初の夢『日本酒造り』にも新たな進展がありました。
2009年から2010年までの2シーズンに渡り、日本酒づくりを任されることになったのです。これは、これまでの経験を買われてのことでした。
宮城県塩竈にある「浦霞醸造所・株式会社佐浦」で蔵人(酛屋)として日本酒造りや海外でのマーケティングを担当。当初あきらめていた日本酒造りが叶いました。
さらに、2012年からは、IWC(The International Wine Challenge)ロンドンのSAKE部門におけるジャッジとして日本酒を世界に発信するお手伝いも続けています。
日本酒の蔵人経験から学んだこと
酒蔵に入り、蔵人を経験した敦子さんが大切にしていること、それは“感性”だと言います。
その土地で長い年月をかけて造られてきた日本酒は、その土地だから造られる。そしてそこに住んでいる人たちだから造れるものだということ。
四季を通じ、自然を愛で、その地のものを食し生活をすることで、感性が造られる。それは、間違いなくワイン造りにも言えることだと信じているのです。
アッパーハンターに残したい品種“ヴァデーロ”
ヴァデーロは、ポルトガル・マディラ島が原産のブドウで酒精強化ワインに使われることが多い品種。香りの豊かさ、栽培される場所や造り方によって大きく変化する特徴を持った素晴らしい品種です。
甘口や辛口など様々なスタイルに仕上げることが出来るのもヴァデーロの魅力の一つ。オーストラリアでは、長年地元の人々やワイン愛好家に愛され、ごく当たり前に飲まれています。
ところがオーストラリア国外に目を向けると、お世辞にも誰もが知るブドウ品種とは言えず認知度が低いのが現状。
その結果、ブドウ栽培農家にとっては作りにくい品種となり、場合によっては引き抜いて他のブドウに植え替えてしまう生産者も増えてきたのだとか。
この素晴らしい品種、ヴァデーロをハンターバレーに残していきたいと願う敦子さん。
敦子さんは、ヴァデーロを造る中で、香りが素晴らしく飲んで美味しいことに加え、何かもう一つ特徴が欲しいと考えたそう。
そこで、醸造過程の発酵で役目を終えた酵母とワインを、経過を見ながら長く一緒にしておくことに。すると、より香り豊かで口当たりの柔らかい最高のワインが出来上がったのだとか。
香りが華やかなのでワインだけでも美味しく、柔らかな口当たりのおかげで飲み飽きることのないため、飲み始めるとすぐにボトルが空っぽに。ワインのキュンとした喉越しやアルコール感が苦手という方にも気に入っていただけるはずです。
DATE: 2015.5.30
スモールフォレストの
オーナー兼ワインメーカー
小林敦子(アツコ・ラドクリフ)さん
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