サンタバーバラ・ワイン特集

サンタバーバラ産ワインってどんなワイン?
カリフォルニア州南部、ロサンゼルスの北西に位置するサンタバーバラ・カウンティ。中でもサンタバーバラ市周辺は、太平洋に面した美しく穏やかなリゾート地として知られ、多くのセレブが豪邸を構える場所としても有名です。
ところが、このリゾートから車でわずか30~40分ほど山を越えて谷間へ入ると一変。海から吹き込む冷たい風がもたらす独特の気候により、世界でも有数の冷涼なワイン産地が広がっています。
ここサンタバーバラは、エレガントなピノノワールやシャルドネが特に知られる一方、シラーやカベルネソーヴィニヨンなど力強い赤ワインも生み出す“多様性の宝庫”。さらに、ワイン専門誌『ワイン・エンスージアスト』のWine Star Awards 2021で“最優秀産地賞”を受賞するなど、まさに実力派のワイン生産地です。
本ページでは、サンタバーバラワインの特徴や、映画『サイドウェイ』公開後に巻き起こったワインブーム、AVAごとの個性やおすすめワインなどをご紹介します。
※AVA(American Viticultural Areas):アメリカ政府が認定するブドウの栽培地域分類。
目次
数字で見るサンタバーバラ
サンタバーバラがどんな規模で、どんな品種を育んでいるか?まずは数字を通して、その魅力をのぞいてみましょう。
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内包するAVAの数7個
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ぶどう畑の面積44.5km2
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ワイナリー数300軒+
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栽培ブドウ品種75品種以上
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ピノ&シャルドネの割合54.71%
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ぶどう品種トップ5
- シャルドネ
- ピノノワール
- シラー
- ジンファンデル
- ソーヴィニヨンブラン
2025年現在 / 参考サイト:The Santa Barbara Vintners
大人気のロードムービー“サイドウェイ”で人気急上昇

2004年に公開された映画『サイドウェイ』(原題:Sideways)は、中年男性2人が結婚前の“独身最後の旅”としてワイナリーを巡るロードムービー。この映画は、アカデミー賞5部門にノミネートし、脚色賞を受賞するなど大ヒットを果たしました。
実は、この映画の舞台となったのは、主にカリフォルニア州サンタバーバラ・カウンティ。そのため、映画公開直後のサンタバーバラ周辺は“ロケ地巡り”を楽しむ観光客やワイン好きで大いに賑わい、“注目のワイン産地”として脚光を浴びることになりました。
さらに、作中で主人公マイルスの“ピノノワール”愛が深く描かれていることから、公開後は全米でピノノワール人気が急上昇。以降の4年でその売上は16%も増加し、いわゆる「サイドウェイ効果」と呼ばれるブームを引き起こしました。
サンタバーバラワインの鍵は横向きの谷

アメリカ西海岸では山脈は南北に連なるのが一般的。しかしサンタバーバラ・カウンティにあるサンタ・イネズ山脈とサン・ラファエル山脈は、東西に走っています。アラスカから南米のチリまで続く太平洋沿岸全体を見渡しても、東西に伸びるこの“横向きの谷”を形成しているのはここだけ。
これにより、太平洋からの冷たい海風が直接、谷を通ってワイン生産地に深く入り込み、霧が発生して日中の暑さを抑えてくれるため、ブドウはゆっくり成熟。こうした長いハングタイム(成熟期間)によって酸と糖度が理想的に保たれ、ピノ・ノワールやシャルドネなど繊細な品種でもエレガントな味わいが生まれます。
一方、海から東へ進むにつれ、内陸部の気温は1マイルごとに華氏1度(摂氏約0.5℃)ずつ上昇すると言われています。実際、海から約40マイル(約64km)離れたハッピーキャニオンはかなり温暖で、カベルネ・ソーヴィニヨンをはじめとしたボルドー系品種が栽培されています。こうした多様な微気候により、同じサンタバーバラ・カウンティ内でもワインのスタイルが大きく変化するのです。
このように“横向きの谷”と海の冷気がつくり出す冷涼エリアから、内陸の温暖エリアまでがコンパクトにまとまっているのがサンタバーバラの面白さ。酸と果実味が調和したピノ・ノワールから、しっかりとした骨格のあるシラーまで、多彩な品種が育つ“多面体のワイン産地”として、近年ますます注目を集めています。
COLUMN温暖化とサンタバーバラワイン
サンタバーバラワインのセミナーにおいて、生産者が語った話によると、地球温暖化の影響が叫ばれる中でも、サンタバーバラは珍しく近年気温が下がる傾向にあるそう。これは、サンタバーバラより内陸の砂漠地帯が高温化すると、その熱がより強い冷たい海風を引き込むため。この地では、過去6年間、最も寒い気温を記録しているとのことです。
サンタバーバラ7つのAVA
ここでは、サンタバーバラカウンティ内7つのAVAの特徴と魅力を簡単にご紹介します。

- サンタ・マリア・ヴァレーSanta Maria Valley1
1981年、カリフォルニアで2番⽬に認可されたAVA。サンタ・バーバラ・カウンティの中では最北端のAVAで、太平洋からの冷たい風と霧に覆われることも多い。冷たい海や風の影響でサンタ・マリア・ヴァレーのブドウは、生育期間が長くゆっくりと成熟していきます。この地域を代表するブドウ品種はシャルドネとピノノワール。他にも、冷涼なサンタ・マリア・ヴァレーで造られるローヌ系品種は個性を放っています。この産地を探す
- サンタ・イネズ・ヴァレーSanta Ynez Valley6
サンタ・イネズ・ヴァレーは、東西に長い地域。西側の海岸沿いは非常に涼しく、東の内陸部に向かうほど暖かくなるため、同じAVA内でも様々なブドウ品種が育ち、多様性に溢れています。また、サンタ・イネズ・ヴァレーは4つのネステッドAVAを内包しています。この産地を探す
- サンタ・リタ・ヒルズSanta Rita Hills2
サンタ・イネズ・ヴァレー内の西側に位置するAVA。太平洋に近く、海からの冷涼な風や霧が吹きこみます。このような涼しい気候と珪藻土や石灰岩といった土壌が、良質なピノノワールやシャルドネを生み出しています。この産地を探す
- バラード・キャニオンBallard Canyon3
サンタ・リタ・ヒルズとロス・オリボスの間にある、小さなAVA。南北に向かって走る細長い谷は、風が非常に強く、気温の日較差が大きい。土壌は粘土質、砂質、石灰岩質で水はけが良く、葡萄には凝縮感がもたらされる。ここでは、主にシラーをはじめとしたローヌ系品種を生産しています。この産地を探す
- ハッピー・キャニオン・オブ・サンタ・バーバラHappy Canyon4
禁酒法時代、奥まったこの地で当時違法だった酒をこっそり入手できたことが名前の由来。サンタ・イネズ・ヴァレーの一番東端の内陸部に位置するAVAで、気候は温暖。 ここでは、カベルネソーヴィニヨンを始めとしたボルドー系品種や、ソーヴィニヨンブランなどが造られています。この産地を探す
- ロス・オリヴォス・ディストリクトLos Olivos District5
東をハッピー・キャニオン、西をバラード・キャニオンに挟まれた広い沖積台地。ミクロクリマの入り組んだサンタ・バーバラ・カウンティでは珍しい、均一な地形、地質、土壌が特徴。地形は緩やかに傾斜しており、日中は温暖で時折朝霧が発生し、夜は涼しいという穏やかな気候です。ロス・オリヴォスでは、ソーヴィニヨンブランをはじめカベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、ローヌの品種が造られています。この産地を探す
- サンタ・リタ・ヒルズSanta Rita Hills2
- アリソス・キャニオンAlisos Canyon7
2020年設立。ロス・アラモスの東に位置する最も小さい最新のAVA。サンタ・マリア・ヴァレーより少し暖かく、サンタ・イネズ・ヴァレーより少し涼しい場所。砂岩と頁岩主体した土壌が主流で、頁岩に含まれるカルシウムの影響で、ブドウの皮が厚くなり、濃厚でのタンニンの多いワインが生まれます。ここでは、上質のカベルネフランやローヌ系品種が造られています。この産地を探す
ワッシーズのおすすめサンタバーバラ産ワイン
【価格帯別】サンタバーバラのおすすめピノノワール
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世界的にも知名度が高い生産者、オー・ボン・クリマの入門的ピノノワール。クランベリー、イチゴ、ハイビスカスの香り広がる、果実味豊かなワインです。バーベキューやスパイシーなアジア料理と合わせたい。
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ワイン・エンスージアスト誌年間TOP100“第4位”の高評価ピノ。このワインが目指すのはサンタ・リタ・ヒルズを体現。ザクロやラズベリーのアロマと熟したチェリーの心地よい1本。 ワイン・エンスージアスト:95点
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ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた偉大ワインメーカー“グレッグ・ブリュワー”が手掛け、7年の熟成を経てリリースされた特別な1本。熟したイチゴやプラム、シナモンやバニラや贅沢に立ち上ります。
【価格帯別】サンタバーバラのおすすめシャルドネ
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カリフォルニアを代表する醸造会社が表現するサンタバーバラのシャルドネ。トロピカルフルーツやシトラス、花の香り。ミネラル感もありながら、ほのかなバニラがリッチな印象です。魚介のパスタとの相性◎
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サンタ・リタ・ヒルズの銘醸畑“ラ リンコナダ”を使った10年熟成シャルドネ。グリーンマンゴーやパイン、ナッツのニュアンス。酸味は鮮やかで最後にミネラル感が細く長く続きます。 ワイン・アドヴォケイト:91点
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ブルゴーニュの名門ドメーヌ・ド・モンティーユ当主がサンタ・リタ・ヒルズで造るコラボワイン。銘醸畑の向かいという好立地から生まれ、サンタ・リタ・ヒルズの可能性を余すことなく伝えてくれる1本です。
【価格帯別】サンタバーバラのその他おすすめ
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弊社社長わっしーがワイン業界に入るきっかけとなった“ダグ・マージョラム”手掛ける爽やかソーヴィニヨンブラン。グレープフルーツ、レモングラスのフレーバーとミネラル感じるロワールスタイルの1本。
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新進気鋭の醸造家“サシ・ムーアマン”と人気料理人“ピーター・パスタン”の最強タッグで生まれるシラー。カリフォルニアの豊かさと北ローヌの様なスパイシーさを兼ね備えた一品。 ワイン・エンスージアスト:94点
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スターレーンが良年にのみ造るトップレンジ“アストラル”を輸入元が保管していた貴重なバックヴィンテージ。口当たり滑らかで、凝縮した果実味と出汁のような旨味感じる複雑な味わい。ワイン・エンスージアスト:95点