このウエスト・リッジは、ハーシュ・ヴィンヤーズのピノノワールの中でも、最もデリケートで、ソフトなタンニンと透明感のある果実味を持っています。このワインは、パワーではなく、複雑さと神秘性で誘惑してきます。
■生産者のコメント
2021年ウエスト・リッジの香りは、通常、ハーシュの中で最も繊細で透明感のあるピノノワールである、このワインには珍しく力強さが感じられます。潰した野イチゴが、濡れた石、セージ、月桂樹、カシス、ブラックカラント、スミレと混じり合います。
味わいの始まりは艶やかで、豊かで良い風味があり、口当たりは凝縮感と軽やかさ、そしてエレガンスが見事に調和しています。
■栽培・醸造について
このウエスト・リッジには、自社畑内の南北にのびた尾根上にある、いくつかの畑のピノノワールが使われています。
非常に重い黒色粘土が主体で、土壌は非常に圧縮されており、典型的な粘土というよりは岩盤のような性質を持ちます。この人を寄せ付けない環境にある畑は、ブドウの木にストレスを与え、樹勢を抑制します。ハーシュにとって最も困難な畑のひとつでありながら、幽玄で儚く、心を奪うような香りを持つワインを生み出します。
このワインに主として使われる畑フィールド7のピノノワールは、1992年にオーナー/デヴィッド・ハーシュ氏が、カリフォルニア/サンタ・クルーズ・マウンテンズのマウント・エデン・ヴィンヤードから採取した枝を使用して植えられています。
これは、真のマッサル・セレクションであり、多様な遺伝的構成を持っています。これらのブドウ樹の系譜は、1800年代後半にブルゴーニュからピノノワールの枝をカリフォルニアに持ち込んだポール・マッソン氏にまでさかのぼることができます。
この遺伝的多様性は、ワインにさらなる複雑さをもたらしますが、同時にブルゴーニュから持ち込まれたブドウ樹に由来するリーフロール・ウイルスも引き継いでいます。このウイルスは、ブドウ樹が光合成を行い糖を生成する能力を抑制します。
その結果、より繊細で自然にアルコール度数が低く、非常にきめ細かいタンニンを持つワインが生まれます。アルコール度12.9%。
■ハーシュ・ヴィンヤーズについて
ハーシュ・ヴィンヤーズは、1980年にカリフォルニア州ソノマコースト西部、現在のフォート・ロス・シーヴュー地区において、初めてピノノワールを植えたパイオニアです。
創業当初から長らく、ブドウ栽培に専念しており、やがてカリフォルニアのトップ生産者(リトライ、ウィリアムズ セリエム、キスラー)にブドウを供給するようになると、他に類を見ないテロワールから生まれる「透明感・複雑さ・凝縮感」を兼ね備えた果実は、大きな反響を呼ぶことになりました。
その後、ハーシュ・ヴィンヤーズは自社ワイナリーを設立。2002年に初めてピノノワールをリリースして以来、栽培家としてのみならず、ワイナリーとしても高く評価され、ソノマコーストを代表する生産者のひとつとなっています。
全てのワインは自社畑のブドウを100%使用して造られています。ハーシュが所有する約30haの畑は日照量・地形・土壌などを考慮した上で、60以上ものブロックに細分化されており、個々に栽培から収穫・醸造まで行われます。この管理区分の細やかさは、フランス/ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区をも上回ります。
ブロックごとのケアには、当然コストも手間もかかりますが、それぞれに適した台木やクローン・灌漑などを選択することこそが、ワインの高い品質を維持する秘訣となっています。
- Hirsch Vineyards Pinot Noir West Ridge Sonoma Coast[2021]
- アメリカ/カリフォルニア/ソノマ/ソノマコースト/フォートロスシーヴュー
- スティル ワイン色: 赤ワイン軽-重: やや重口
- ピノノワール100%
- 750ml