リトライLittorai
リトライ早わかりポイント
- オーナー兼醸造家のテッド・レモン氏は、ブルゴーニュの名門ドメーヌの栽培&醸造責任者になった初めてのアメリカ人!!
- ワイン専門誌「ワイナート99号」にて自社畑のピヴォット・ヴィンヤード2017が本号最高点の99点
- "The New California Wine"の象徴として表紙を飾り大きな話題に。
- 世界でも数少ない『ビオディナミ』の理想を体現した究極の生産者
ようやく時代が追いついたエレガントなピノ&シャルドネ
リトライは、カリフォルニア州ソノマで1993年にスタートしたピノノワールとシャルドネを手がける小さなワイナリー。ワイナリー名『リトライ』は、ラテン語Litorの複数形の派生語で、Coasts(海岸)を意味します。
濃厚なピノノワールが多く占めた時代には、リトライのワインはあまり評価を受けることはありませんでしたが、食事とともに愉しむエレガントなファインワインを探し求めるカリフォルニアのソムリエたちに見出され、次第に名声を得ていくようになりました。
現在では、リトライは繊細なスタイルのシャルドネとピノノワールの先駆者として、多くの造り手から尊敬を集めています。
アメリカの著名なワインライター、ジョン・ボネによる凝縮に走らない新世代のカリフォルニアの造り手達を紹介する著書 "The New California Wine" ではリトライのオーナー兼醸造家のテッド・レモンを象徴として表紙に採用し大きな話題となりました。
オーナー兼醸造家テッド・レモン氏について
リトライのオーナーであり醸造家のテッド・レモン氏は、カリフォルニアのピノノワール生産者の中で最も「ブルゴーニュ人」と言われる人物。
それもそのはず、テッドはフランスのディジョン大学に留学し、醸造学の学位を取得。24歳で、ムルソーを代表するトップ生産者であるドメーヌ・ギィ・ルーロで栽培醸造長に就任した逸材。なんと、聖地ブルゴーニュでワインメーカーになった初めてのアメリカ人とのこと。
「ブルゴーニュ人」と呼ばれるテッドですが、決してリトライのワインをブルゴーニュの模倣品にしようと考えているわけではありません。あくまでも、カリフォルニアの地域ごとの個性、畑ごとの個性を生かしたワインづくりを目指しているといいます。
リトライの設立まで
ドメーヌ・ギィ・ルーロでの醸造経験の後、アメリカに帰国したテッドは、ナパのシャトー・ウォルトナーの創業時に初代醸造責任者として加わったのを皮切りに、フランシスカン、クロ・ペガスを始めとするカリフォルニアの著名ワイナリーやオレゴンのアーチェリー・サミットでコンサルタントとして活躍しました。
しかし、ブルゴーニュ品種への想いが断ち切れず、妻ハイジと共に北はシアトル、南はサンタ・バーバラまで西海岸に沿って旅をし、理想の土地を探すことに。収量を抑えた高品質なワインを造るために涼しい場所を探し続けた結果、1993年、ソノマの中でもThe Sonomaと呼ばれるこの地に至り、自らのワイナリーをスタートすることとなりました。
設立当初は、手持ちの資金も援助してくれる投資家もおらず、120ケースのシャルドネと150ケースのピノノワールという、大変小さな規模でスタートし。1999年までは契約畑のブドウでワイン生産を続け、2000年にヘイヴン・ヴィンヤードを、また2004年にはピヴォット・ヴィンヤードを購入しました。
ちなみに、現在リトライの生産量の85%がピノノワール。白ワインの銘醸地ムルソーでワイン造りをしていたのに不思議に思うかもしれませんが、ルーロで醸造長を任される以前は、ジョルジュ・ルーミエ、ブリュノ・クレール、ドメーヌ・ド・ヴィレーヌなどブルゴーニュの名門ドメーヌでの修行を行った経験もあり、ピノノワールでのワイン造りに多く関わっていたのだとか。
ビオディナミ(バイオダイナミクス)について
リトライは、カリフォルニアで最も敬虔なビオディナミの実践者としても知られています。ただし、マーケティング目的でビオディナミを行っているわけではないため、あえて何の認証も得ていないとのこと。
日本に入荷しているワインとしてはリトライで唯一の自社畑であるピヴォット・ヴィンヤードは、3エーカーのビオディナミ農法によるもの。この自社畑に対して、プレパラシオン(ビオディナミ農法で、畑に散布したり、堆肥造りに用いる調合剤)の為の畑や森、農場がなんと14エーカーも!!
ピヴォット・ヴィンヤードのための生態系を作り上げ、植物・動物・水・空気、ひいては宇宙までも一つに通じ、想像できないほどのスケールの全てが一本のワインに詰め込まれています。
ワイナリーのすぐ横にある溜池は畑への散水用に作られています。池には草を生やし自然にて浄化。倉庫内の使い古した樽にはプレパラシオン(調合剤)を保管しています。
この中には、カモミールなどの植物を煎じて作られたティーや、コンポスト(堆肥)のティーなどが入っています。
これらはドリップイリゲーション(点滴灌漑)やスプレーマシンで撒いています。他にも、ウィローというローカルの木を花の咲く時期に煎じたものを撒いているそう。
プレパラシオン(調合剤)は目で見て感じられるものではなく、自然界・宇宙と結合しているものとテッド・レモンは語っています。
ビオディナミ(バイオダイナミクス)については2000年に発足し、アラウホやサターホーム、シンスキーなどが加入する勉強会で意見交換などを行なっているということです。
ビオディナミを実践することにより変化を感じたことは?という問いには、畑が強くなったと感じると仰っています。例えば、病害に強い、一般的に良くないと言われる年でも良い出来に仕上がるそうです。
リトライでは、あまり人が手を加えない自然に任せたワイン造りを心がけているため、度々驚かれるそうですが、畑に手間暇をかけることが最も大事だと語っていました。
リトライの土壌・畑について
テッド・レモン氏は、ソノマの土壌の方が、フランス全土の土壌より多種だと語ります。ソノマでは、長年に渡り北へと地殻変動が起きたため、すぐ隣の畑でも土壌構成が全く異なるのだとか。
リトライの畑は砂質、粘土、火山性が層になりプレスされています。夏になるとまるでセメントのように硬くなるので、ブドウの根は横に広がらず、下へ下へ伸びます。セバストポールのペイやケンダルジャクソンにも似た土壌があるそうです。
リトライの畑では6頭の牛と30頭の羊を飼っています。牛については、堆肥はもちろんツノや腸、頭蓋骨を、ビオディナミ農法のプレパラシオン(調合剤)を作る際に使っています。
羊には畑のカバークロップ(緑肥)を食べてもらい、その場に糞をしてもらう。その際、羊が背の高い緑の草を食べ、背の低いクローバーは残すように調節するとのこと。クローバー残す理由は、窒素を含むからだそう。
リトライの畑で驚かされるのはとにかく土がふかふかであるということ。インポーターさんが訪れた2月頃でも、シャベルがサクッと土に入り込んだそう。これが夏季にセメントのようになるとは考えられません。
そして少し掘ると大量に出てくるミミズ。ミミズ達も畑作りに欠かせなく、1ヘクタールあたり400パウンドの土を分解してくれています。このふかふかな畑は、およそ30センチ掘ると粘土質土壌に変わります。目でみてわかる程、多様な土壌が層をなしているのです。
DATE: 2017.05.23
リトライのオーナー兼ワインメーカ
テッド・レモン氏
がワッシーズにご来店♪
姉妹レストラン『スープル』でワイン会を開催していただきました。