ピーター レーマンPeter Lehmann
バロッサを救った伝説的ワインメーカー
オーストラリアで最も知られるワインの産地『バロッサ』は、樹齢100年を超える古木が多く残存する産地。バロッサの古木は、今でも素晴らしい果実をつけており、代々続くブドウ栽培農家が丹念に育てた葡萄からは世界最高級のシラーズが造り出されています。
そのバロッサで地元の人々に最も尊敬されているのがピーター・レーマン(Peter Lehmann)氏です。もしピーター・レーマンがいなければ、今の美しいバロッサは存在していなかっただろうと言われています。
ピーター・レーマンの歴史
ピーター・レーマン・ワインズの創設者ピーター・レーマンは、ドイツ系移民の5世代目として1930年バロッサの牧師の家に生まれました。
17歳からワイン醸造の世界に入り、バロッサの大手ソルトラムの醸造家となったピーター・レーマンは、バロッサの栽培農家のぶどうを使って数々の功績を打ち立ててきました。しかし、1970年代半ばにぶどうが供給過剰となり、ソルトラム社が契約栽培家との買取り契約を一方的に打ち切ってしまいます。
ピーター・レーマンは、ブドウ栽培農家との契約打ち切りに反対し、ソルルトラムを去ると同時に、私財を投げうってワイナリーを興します。会社設立をギャンブルのようだと考えたピーターは、このワイナリーの名前を、有名なミュージカル『ガイズ&ドールズ』の主人公でギャンブラーのスカイマスターソンから着想を得て『マスターソン・バロッサ・ヴィンヤーズ』と名付け、テーマに合わせてそのロゴをクラブのクイーンとしました。
ピーター・レーマンは、莫大な金銭的リスクと個人的リスクを背負いながら、栽培農家たちからぶどうを買い取ることで経営破綻に追い込まれた栽培農家たちを救います。1982年にこのワイナリーを改名。ピーター・レーマン・ワインズが誕生します。
誰よりバロッサ・ヴァレーを愛したピーターは、100%バロッサのブドウにこだわり、サブ・リージョンや畑それぞれの特徴を生かしたブレンド技術により1990年、 ストーンウェル・シラーズ’89がオーストラリアで最も権威のあるワイン賞『ジミー・ワトソン・トロフィー』を獲得。1980年代にはクナワラやマーガレット・リヴァーに圧倒されていたバロッサ・ヴァレーの赤ワインに新しい風を吹き込みました。そんな彼を、人々は「バロッサの男爵」と呼んでいます。
2015年、ピーター・レーマン・ワインズはイエローテイルのブランドで知られるのカセラ・ファミリー・ブランド社の経営のもとに移りました。カセラ社にとっては新しい分野への挑戦となり、またピーター・レーマン・ワインズにとっても世界の新たな拠点を得る大きなチャンスとなりました。バロッサの栽培農家に対するピーターの忠誠心と愛情は、ジョン・カセラ氏の経営となった今日でも受け継がれています。
ピーター・レーマンのブドウについて
ピーター・レーマン・ワインズは、エデン・ヴァレーの谷床から高所に至るまで、バロッサの各地に140を超える独立した栽培農家のぶどうから、素晴らしいワインを送り出しています。多様性、個性、能力を備えた、800を超えるヴィンヤードが存在し、最古のぶどうは1885年に植樹されています。
殆どの栽培農家は、もともと祖先が築いた畑を耕作しているので非常に樹齢が高いぶどうが多いのが特長。ピーターレーマン・ワインの醸造家たちは、より質の高いぶどう造りを共に取り組むため、毎日バロッサ中の畑を走り回り、栽培家とのコミュニケーションを取っています。