ガーギッチ ヒルズ エステートGrgich Hills Estate
米大統領やエリザベス女王の晩餐会でも使用された実力派
1976年、かの有名なパリのティスティングの結果を受けて、ミリェンコ" マイク "・ガーギッチの名が世に知れ渡ります。
フランスのトップクラスのワインとカリフォルニアワインのブラインドテイスティングが行われ、白ワインのトップに選ばれたのがカリフォルニア産の「1973年モンテレーナ・シャルドネ」でした。カリフォルニアワインが世界に認められるきっかけとなったこのワインを造ったその男こそが、マイク・ガーギッチでした。
その後、彼の造るシャルドネは至る所で高い評価を得、「キング・オブ・シャルドネ」と呼ばれるようになりました。クロアチア出身の彼は父が祖国でやっていた自然農法を実践し2003年のカベルネは初のバイオ・ダイナミック農法のヴィンテージになり、2006年には完全バイオ・ダイナミック・ヴィンヤードとなりディメターの認証を得ました。クリントン元大統領やエリザベス女王の晩餐会でも使用されたカリフォルニアを代表するプレステージあるワイナリーです。
青色のベレー帽がトレードマークのマイク・ガーギッチ氏は、2008年には、カリフォルニアのワイン産業に貢献した人物をたたえる「Vintners Hall of Fame 」の殿堂入りを果たします。
マイク氏は、2023年に100歳で亡くなりました。ガーギッチ・ヒルズは現在、マイクの愛娘Violetと甥のIvo Jeramazが舵を取ります。決して過去の栄光に溺れる事がないよう、二人は毎年ワインの品質向上に力を入れています。
ガーギッチ・ヒルズにおけるバイオダイナミック農法
ブドウを持続的に生産し続けることはガーギッチ・ヒルズで最も重要な事です。環境にやさしい農業を実践することが、健康的で豊かなブドウ畑を維持ための長期的でしかも現実的な唯一な方法だと信じています。そしてその結果、より品質の高いブドウを生産することができると信じています。ナパ・ヴァレーにある私達の全ての畑は有機栽培を実践し、さらにバイオダイナミック農法へ転換しようとしています。この農業哲学は大地を生きた有機体として扱い、自然界の基礎を成す生物をブドウ樹と大地のバランスを保つために利用しようと言うものです。現在、私達はアメリカで最大のバイオダイナミックのブドウ畑を所有しています―所有している366エーカーの内257エーカーがバイオダイナミック農法を実践し、2006年には全ての畑ディメター認証のバイオダイナミックとなりました。
バイオダイナミックの原理
オーストリアの自然科学者であり哲学者・教育者であるルドルフ・シュナイザーが1924年にバイオダイナミックの原理を作り上げた。有機栽培同様、このシステムは有害な除草剤や殺虫剤・防カビ剤、あるいは化学肥料を使用しません。バイオダイナミック農法は自然の堆肥を使用することで有益なバクテリアの生育を助長し、土壌の中に腐葉土を形成、安定的に保持されます。そしてその土の活力がそこに生育する植物の健康と品質をサポートします。 私達は畑の土壌のバランスのために、自然の植物や動物の排泄物等から作った調剤を使います。主要な調剤は9種類あります。牛の角に詰めて発酵させた牛糞堆肥は根の成長を助け、土の中の微生物を活性化します。牛の角に詰めたけい土は個々の植物の光の代謝を助けます。発酵したノコギリソウ、イラクサ茶、発酵させたオーク樹皮、発酵させたカモミール、発酵させたタンポポ、カノコウソウのジュース、これら6種の配合物は堆肥調剤に使われます。最後の配合物のツクシ茶はカビの成長を阻止します。それぞれの調剤は薄められ「ダイナマイゼーション(増強)」と呼ばれる特別な撹拌機で活性化され、適宜、畑に撒かれます。
今日の農業では、実際の収穫物や定量化できる収量に観点をおいて考えますが、バイオダイナミックでは生命力に観点をおいて考えます。その生命力は目に見えないものかも知れませんが私達の回りどこにでも存在し、どこでどのように見ればよいかを知っている人には見えるものです。バイオダイナミックの原理によると自然界には4つの重要な要素があります。それは大地、水、光、そして熱です。そしてそれらは植物の4つの基本的な組織、根、葉、花、果実とリンクしています。月が潮の干満に影響を与えるように、これら4つの植物組織が天文学的要素と関係し影響を受けうる事が、何世紀にも渡る農業経験や科学的な発見により示されています。
バイオダイナミックのブドウ栽培農家に課せられた仕事は、これらの成長していく生命力を年間を通してバランスよく育てていく事であり、特定の作業するに好ましい特定の日に適切な作業をすることです。そのために私達はブドウの生育期あるいは年間を通して月や惑星の位置を教えてくれるような天文学的なカレンダーを使っています。動物や植物の生命同様、人間の生命は地球や他の惑星のリズムに依存しているところが多いのです。
ガーギッチ・ヒルズではバイオダイナミック農法が最高品質のブドウを栽培するのに最適な方法だと理解しました。この農法のアプローチにより80-100年の古い畑も健康で豊かな畑のまま維持することが出来ます。葉は元気で健康的に輝き日光に向かって成長し、一方で芽は垂直に伸び成長力の豊富です。最終的なワインは力強さとデリカシーを併せ持ったとても珍しいコンビネーションが特徴で、完熟しているがエレガント、まるで畑と同じように全てのバランスが取れたワインとなります。何よりもバイオダイナミックのワイン造りはテロワールそのものを表現します。ワインは本質的にそのブドウが育った大地に関係するのです。
ガーギッチ・ヒルズに働く人々にとってバイオダイナミック農法はエキサイティングで啓蒙的な経験です。これにより自然への認識と感謝の気持ちやその本来の美しさや優美さを再認識しています。この新しい農法が私達に土地との素晴らしい関わりや大きな充足感をもたらしてくれました。バイオダイナミックの哲学を深く理解し実践し、その結果のワインが畑と同じようにバランスの取れた、しかも全ての要素がハーモニーを奏でるようなワインになると確信しています。