カンパイ ワインズKanpai Wines
ナパの炎から生まれた復興の証
2017年秋の収穫真っ只中のナパを襲った火災。ブドウの煙害を懸念した大手ワイナリーが一方的に買い取らなかったブドウを使い、自分たちの手で何かできないか・・・被災地の為にどうにか力になれないか・・・そんな強い思いからカンパイ・ワインズは、誕生しました。
ワイナリーを決めたのは一目惚れから
コンピュータ及びインターネット用セキュリティ関連サービスで知られるトレンドマイクロ社のCEOとして成功したエヴァ・チェン(Eva Chen)女史は、ホスピタリティや接客業に興味を持っていました。
エヴァはある日、従兄弟の結婚式に参加するために息子のピーターと彼のフィアンセのアズミと共にナパヴァレーのカリストガを訪れます。そして彼らは、たまたま訪れたメドーブルック・ファームに一目惚れしたのです。
その直後にエヴァの夫であり、金融業界で成功したダニエル・チァング(Daniel Chiang)氏も別の機会にメドーブルック・ファームを訪れ、同じ様に一目惚れし、ここからカンパイ・ワインズの歴史が始まりました。
復興の証として始めたワイン造り
当初はこの素晴らしい畑に実ったブドウを使い家族や友人達と一緒に楽しむ少量のワインを醸造し、残りのカベルネソーヴィニョンを近辺のナパ・ヴァレーワイナリーに販売する予定でした。
しかし収穫中の2017年10月、カリフォルニア州のナパ郡などで発生した大規模な火事の影響で避難を余儀なくされ、手に入れたばかりのメドーブルック・ファームから離れなくてはなりませんでした。
まだ収穫途中のブドウを畑に残し、家族は敷地を離れたのです。このとき、もともと販売するはずだったブドウの行方を運命に任せるのではなく、自分たちの手で何かをしようと考え、カンパイ・ワインズが設立されました。
エヴァとダニエルはアドバイザーとして、シェフの経験を持つ息子ピーターとフィアンセのアズミの新しいワイナリー計画をサポートします。
カンパイ・ワインズの名前は文字通り「乾杯」に由来します。ピーターの祖父母が台湾出身だったこともあり、当時まだ日本の植民地だった時代から日本のことを友好的に考えていた彼らに表する一言です。
カンパイ・ワインズの畑について
カンパイ・ワインズが所有するメドーブルック・ファームのエステートはナパヴァレーのオーク・ノールAVA内にあります。およそ7ヘクタールの畑には1988年に植樹されたカベルネソーヴィニョンが植えられています。
このメドーブルック・ファームのエステートは、今でこそスター栽培家として知られるスティーヴ・マサイアソンがまだ駆け出しの頃に栽培を担当していた畑だった事が判明し、この畑のポテンシャルとテロワールを知り尽くしている彼がカンパイ・ワインズのワインメーカーとして戻ってきてくれました。
メドーブルック・ファームの畑はドライクリーク峡谷の河口部に位置し、夜間にはマウント・ヴィーダーから吹き降りる涼風によって、日中に強い日差しを浴びたブドウが冷却されます。結果、ブドウには豊かな酸とタンニン、そして骨格が感じられます。周囲の畑と比べ、変色して枯れた葉が枝から落ちるタイミング・時期が一番早いのがこの畑の特徴です。
そしてこのタイミングこそがカベルネ・ソーヴィニョンの収穫を始める目印となります。畑の下層土は数百年に及び河口部に流れ溜まった土壌で、薄い粘土状の層と、シルト岩を含む粗い砂利質の土壌が混じっています。ワインの特徴として、豊かな酸、旨味を感じるオリーブや茶葉、タバコのアロマがあります。