ダナ エステーツDana Estates
彗星のごとく登場し創業後わずか2年でパーカー 100点
2005年創業のダナ・エステーツはカベルネの牙城ともいうべきラザフォードとセント・ヘレナの間、マヤカマス山麓にあります。Danaはサンスクリット語で『寛容の精神』という意味。ラベルにある12個のハスの花は12ヶ月を意味し、再生と生命のサイクルを表しています。
ワイナリーは1883年にオーストリア出身のH.W.ヘルムズによって建てられた石壁を利用し、建築家のハワード・バッケンがワイン・ディレクター、フィリップ・メルカの意見を取り入れ、醸造チームがブドウ到着から醸造、樽熟成に至るまでの全過程を管理できるように、必要なスペースと設備を設計しました。
ナパ初の韓国資本が壮大な夢を描きワイン作りを始めた
オーナーは韓国出身のHi Sang Lee (ヒ・サン・リー)父子。かつてジョン・コングスガードがワインメーカーを務めたこともあるラザフォードの名門リヴィングストン・モフェット・ワイナリーを買い取り、ダナ・エステーツに生まれ変わらせました。
ヒ・サン・リーは韓国で食料流通の一大グループを経営しています。1990年半ば韓国で高級ワインを入手するのが難しく、五大シャトーなどを輸入しては販売するうちに、それらを凌ぐナパのポテンシャルに気づき、その魅力にとりつかれます。
ナパのワイナリーに足を運んで輸出を頼みますが、初めはワインを分けてもらえませんでした。何度も足を運ぶうちに分けてもらえるようになりました。段々と輸出の量も増え、ハーラン・エステートのビル・ハーランなどとの親交もでき、ナパの人脈に溶け込んでいくうちに、リヴィングストン・ワイナリーのオーナー、ジョン・リヴィングストンから土地の購入を持ちかけられたのです。
2度のパーカー・ポイント100点
パーカー・ポイント初めての100点は韓国資本のワイナリーとして始動してわずか2ヴィンテージ目のロータス・ヴィンヤード2007。そして3年後に2度目の100点をロータス・ヴィンヤード2010で獲得するなど、新しいカルトワインとしてアメリカでの知名度は急上昇しています。
リヴィングストンがなしえなかった、パーカー100点がダナ・エステートから出た理由は栽培方法の変更にあります。ジョン・リヴィングストンからは畑を購入した後も懇切丁寧な引き継ぎをうけましたが、以前との大きな違いはテロワールの個性を生かすために有機農法に変えたことです。
そして実力・人気ともに秀で、類いまれなテイスティング能力を持つフランス人ワイン・ディレクターそして地質学者でもあるフィリップ・メルカ(元ブライアント・ファミリー、元ハンドレッド・エーカー)の手腕あってこそ、と言えるでしょう。醸造はフィリップ・メルカとキャメロン・ヴァウター(UC Davisのブドウ栽培と醸造の学位取得)がチームで行っています。
エステートのシングル・ヴィンヤードに特化
ダナ・エステーツは、ラザフォードのヘルムズ、セント・ヘレナのヒルサイドにロータス、ハウエル・マウンテンにハーシーと3か所の畑を有して、いずれも高品質なシングル・ヴィンヤードのワインを少量ずつ生産しています。
2012年のプレミアム・ナパ・ヴァレー・オークションではわずか60本に700万円という最高落札ロットになりました。また韓国資本のナパ・ワインの強みを生かして、2010年韓国で行われたG20の公式晩さん会にはダナ・エステーツのセカンド・ラベル、オンダが供されました。オンダにはヘルムズ、ロータス、ハーシーのほかに自社畑でオンダ用のクリスタル・スプリングス・ヴィンヤード(セント・ヘレナ)のブドウも使用しています。