ボデガ デ エドガーBodega de Edgar
8 歳の時にメキシコから家族と共にアメリカにやってきたエドガー・トーレスにとって、自身の造るワインのブランドを立ち上げるのは、まさにアメリカンドリームの実現でした。トーレスがワイン造りに興味を持ったのは、ワインカントリーのレストランでウェイターをしていた頃でした。
その第一歩は多くのワインメーカーが通った道、“セラーラット”(ワイナリーの雑用係)からです。セラーラットを勤めながらパソ・ロブレスの多くのワインメーカーとの出会いがありました。そのうちの一つハグセラーズでは、アシスタントワインメーカーとしてだけでなく、テイスティングルームでの接客やワインクラブのマネージャーなど、ワイナリー経営全般を学びました。
2009年にハグセラーズを一旦辞め、当時隣同士だったバレル27ワインカンパニーでアシスタントを勤めながら、同時に自身のブランド、ボデガデエドガー(エドガーのワイナリー)を立ち上げました。
「どちらのオーナーもとても寛大で、自分のブランドを成長させるためのノウハウを惜しみなく分かち合い、応援してくれました」とトーレスは語ります。
転機は2014 年、ハグセラーズのオーナーが引退を決めた時に訪れます。
トーレスは、ハグセラーズがいかに素晴らしいワイナリーで、顧客から支持されていたかをよく知っていたため、このままワイナリーが無くなってしまうのはあまりに惜しいと感じました。
オギー・ハグはトーレスを息子のように可愛がりワインメーカーとして育ててきたので、トーレスがハグセラーズの名をそのまま引き継ぎたいと申し出た時、快く承諾したのです。これまでハグセラーズにブドウを供給してきた農園とはとても良い関係が築かれており、栽培に対する期待や条件を栽培家たちもよく理解し、それを忠実に守っています。
オギーのやり方を熟知しているトーレスは、その手法を踏襲し、ハグセラーズのブランドをしっかりと守っていく決意を固めました。一方、「ボデガ デ エドガー」は、自身のバックグラウンドであるスペイン系の品種を中心にワイン造りを行っています。
扱う品種は異なりますが、二つのブランドはその哲学や目指すところはとても似ています。ワインは母なる大地が人間に与えてくれる賜物です。自然を裏切ず丁寧にブドウを育てる農園や労働者と共にワインに携わる全ての人の思いを詰めていきます。
「ボデガデエドガー」のブランドは、開始直後から地元の高級レストランで採用され、その名はじわじわと浸透してきています。彼の確固とした実力を知る業界人はこの新しいブランドが、大きな注目を浴びる日も遠くないと目論んでいます。