ゴースト ホースGhost Horse
ゴースト ホースの早わかりポイント
- スクリーミング・イーグル超え!ナパで最も高価なカベルネ
- ブラインドテイスティングで名だたるカルトワインに勝利した知る人ぞ知る裏カルト
- ワインは、醸造家の地質学者としての知識と経験に基づき、完全手作業で生産
入手困難!ナパで最も高価なカベルネとして話題の裏カルト
ゴーストホース・ヴィンヤーズは、カリフォルニア州ナパ・ヴァレーのクームスヴィルAVAに位置するプレミアムワインの生産者です。
ゴーストホースのワインは、完全手作業で造られるため生産量は驚くほどわずか。そのため一般的な知名度はそう高くありませんが、その希少性もあって、世界の富裕層が喉から手が出るほど渇望する裏カルトのような存在となっています。
1999年、ナパで30年以上ワインを造り続けるベテラン、トッド・アンダーソン氏が自身の最高傑作としてゴーストホースを創業。翌年2000年に最初のワインを手がけました。
世界にゴーストホースの名が知られるようになったのは、2009年12月のことでした。
ニューヨークで「Cult Wines against Ghost Horse」と呼ばれるダブル・ブラインド・テイスティングを開催。ゴーストホース・ワイナリーの入門編となる“ゴーストホース カベルネソーヴィニヨン 2005”が、名だたるカルト・ワインを下して頂点に立ったことで、世界で最も話題のワインとなったのです。
ちなみにこのときゴーストホースの対戦相手となったワインは、ハーラン・エステート2003、グレース・ファミリー2005、エイブリュー2001、フトー2005、シェーファー ヒルサイド・セレクト2002、メーラス2005、レイミー ペドリガル2005、ダラヴァレ マヤ1999、アロウホ アイズリー2002と、錚々たるカルト・ワインばかりでした。
また、世界最大級のワイン検索サイト“ワイン・サーチャー”は、2021年7月23日の記事で 『カリフォルニア・ナパヴァレーで最も高価なカベルネソーヴィニヨン』として、ゴースト・ホース・ヴィンヤーズのスペクター カベルネ・ソーヴィニヨンを紹介 しました。
気になるそのお値段は、あのキング・オブ・カルトと呼ばれるスクリーミング・イーグルを追い抜く4200ドルだったそうです。
ゴーストホースの畑・醸造について
ぶどう畑について
ゴーストホースの畑があるのはナパヴァレー南東部クームスヴィル地区。クームスヴィルはナパでも冷涼地域の一つで、すぐ南のサン・パブロ湾から吹き込む霧と海風の影響もあり、この地域のブドウはゆっくりと成熟し、しっかりとした酸味を保ちます。
ハウエルマウンテンが暑い山カベとすると、クームスヴィル地区は冷涼な山カベ地帯。ヴァレーフロアや北部ナパ地域とも全く違うキャラクターを見せます。
クームスヴィルにあるゴーストホースの畑は、わずか3.02 エーカー。この畑から、カベルネソーヴィニヨン100%の5種類のワインが造られています。
地質学者でもある、オーナー兼ワインメーカーのトッド氏。そのため、ワイン造りにおいてもまずは土壌の評価から始まります。
トッド氏が分析した結果、畑には約5種類の異なる土壌がが存在することがわかりました。その結果をもとに、ゴーストホースのでは、5つの区画ごとに個性を生かした別々のワインを造ることになりました。
ブドウ畑では、それぞれの区画毎に最適なブドウの樹仕立て方や日当たりを見極め、より上質な果実を収穫するために、ドライファーミングや灌漑といったアプローチをおこなっています。
ワイン造りについて
ゴーストホースに使用するブドウを収穫するタイミングは、Brix(糖度)や酸のレベルだけで決めることはありません。トッド氏は、ぶどうに果実味、酸味、アルコール度、テクスチャーのバランスが取れるポテンシャルが備わっていれば、極端な数値(低い、高い)は気にならないといいます。
また、収穫から樽熟成まで、常にテイスティングを行うことこそが、ワインを造る過程で正しい判断を下せる秘訣。長年のヴィンテージに対応できる経験と知識を持つトッド氏だからこそできることです。
オーナー兼ワインメーカー、トッド・アンダーソン
ゴースト・ホースのオーナー兼ワインメーカーは、ナパヴァレー育ちのトッド・アンダーソン氏。
トッド氏は、カリフォルニア州ストックトンにあるUniversity of Pacificで地質学の学位を取得。地質学者として石油やガスの探査に従事していましたが、会社勤めは自分には向いていないことに気づき、ワイン造りの道に入りました。
このような地質学者としての経歴から、トッド氏は土壌と微気候に関する優れた知識を持つ、個性的で腕利きのワインメーカーと言われています。
1983年、両親とともにナパのセントヘレナにアンダーソンズ・コン・ヴァレー・ヴィンヤードという小さなブドウ園をスタート。トッド氏は何もないところから土地を開拓し、葡萄畑を作っていきました。
その頃アメリカのワイン消費量は大きく伸びていましたが、ナパのワイン業界はまだ『ナパらしさ』を見出すことができずにいました。
ワインメーカーのほとんどはボルドーワインの模倣のような渋く、アルコール度数が低いワイン造りに終始していたといいます。
そんな中、トッド氏をはじめとしたナパのワインメーカーは、今では典型となった豊かな果実味と高いアルコールのナパスタイルを確立しはじめました。
トッド氏によると、当時ナパはワインメーカーの黄金期。そのため、今ではナパを象徴するワインメーカーとなったRobert Mondavi、Louis Martini、Justin Meyer、Joe Heitzとは、共に切磋琢磨した間柄であり、多くのアドバイスを受けたといいます。彼ら、腕利きのワインメーカーと、彼らのスタイルを支持する評論家ロバートパーカーの影響もあり、ナパワインの品質に対する評価が高まってきていました。
トッド氏はアンダーソンズ・コン・ヴァレー・ヴィンヤードで成功をおさめ、30年以上に亘りナパでワインを造り続けるなかで、「米国の究極のワインとは・・」という答えを求め、1999年に「馬を駆り、亡霊の馬を狩る“ゴースト・ホース”」を設立させたのです。
ゴーストホースのラインナップ
ゴーストホースで造られれているワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン100%の5種類の赤ワインと、唯一の白ワインであるシャルドネの合計6種類。赤ワインの上位銘柄にはそれぞれ特別な名前が冠されています。
白ワイン
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シャルドネ
ゴーストホースの中で唯一生産される黄金のシャルドネ。フロステット・ボトルに嘶(いなな)くホースが大きく描かれ、ろうそくやライト越しにボトルを見ると浮かび上がり幻想的なホースが出現します。チェスでいうナイト、まさにホワイト・ナイトというような存在。
赤ワイン
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カベルネ・ソーヴィニヨン
ゴースト・ホースの赤ワインの中でも入門編となるお手頃ワイン。唯一、別名のない赤ワインです。とはいえ、他を寄せ付けない圧倒的な力を今誇りつつ、数十年単位の熟成をも可能にする二面性を内在させます。チェスにたとえるならば貴公子ビショップのような存在。 -
ファントム(幻影)
最もソフトで究極のシルキーさを持つ銘柄。飲むほどに妖艶で強靭なワインは、まるで脳裏に憑りつくかのよう 。チェスにたとえるならば神出鬼没のクイーンのような存在。 -
アパリッション(幽怪)
強靭なボディをもつ怪力ワインで、筋骨隆々としたすべてを圧倒するパワーがある銘柄。チェスで たとえるならば豪胆なルークのような存在 。ゴーストホースの余韻はすべてにおいて極めて長く、ひとたび飲むと他のカリフォルニアワインがチェス最弱の駒、ポーンのように感じてしまいます。 -
スペクター(亡霊)
ファントムの持つ究極のシルキーさと、アパリッションのもつパワフルさをも併せ持つ怪物ワイン。チェスでいう紛れもないアルティメットキングです。ワインサーチャーに、『最も高価なナパカベルネ』に選出されたのはこの銘柄です。 -
プレモニション(前兆)
ゴースト・ホース最上位に君臨する最終銘柄であり、究極のゴーストホースワイン。ワインサーチャーが最も高価なナパカベルネとした『スペクター』よりもさらに上位クラスのワインがプレモニション。つまり事実上、米国ワインで最も高価で希少なワインといえます。生産数がごくわずか故に、世に知られることもなく、まさにゴーストという名に相応しい漆黒の存在です。