ハイド ド ヴィレーヌHyde de Villaine
ロマネ・コンティのDRCの
カリフォルニア・コラボワイナリー
カリフォルニアワインというと、樽の香りがしっかりとある甘みが感じられるタイプが主流である。 しかしハイド・ド・ヴィレーヌのワインは樽香が適度に抑えられていて、ヴィンテージによってはまったく樽を使わないキュベもある。「カリフォルニアワインは樽香をしっかりつけた方が売りやすいのでは?」という問いに、醸造責任者のステファンは「自分たちはワインメーキングではなく、ワイングローイングをしている。売れるワインを造りたいわけではない、この土地のテロワールを表現したいんだ。フランス人のハートでナパワインを造っているよ」と答えた。
カリフォルニアの有名ワイナリーが契約するハイド・ヴィンヤードのブドウを使い、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティのオベール・ド・ヴィレーヌ氏がディレクターを務めるハイド・ド・ヴィレーヌの醸造責任者、さぞや重圧がかかるのでは?と思いきや、少人数で営まれているこのワイナリーは家族経営のような温かい雰囲気が漂い、ステファンも伸び伸びとワイン造りを行っているように見える。
「サンフランシスコジャイアンツの試合を見ている時以外は、畑を見ているよ」というラリーは、今では体調の理由で街に住んでいるが、以前は畑の中に建てた家に住んでいて、ほとんどの時間を畑で過したという程畑を愛している。彼にとって、ブドウの良さをストレートに表現したハイド・ド・ヴィレーヌのワインは可愛い我が子が成長した姿のようなのではないだろうか。畑での説明を終えた後、「妻が外出するから今晩は子供の面倒を見るために早く帰るんだ」と言うステファン。おもむろにベストを脱いだと思ったら、下に着ていたTシャツには自分の赤ちゃんの写真と名前が大きくプリントされていた。きっとこの子も温かい愛情に包まれ、素直に育つのだろう。
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(以下DRC)の共同経営者であるオベール・ド・ヴィレーヌ氏と、有名生産者にブドウを供給してきたハイド・ヴィンヤードのラリー・ハイド氏が共同で2000年にハイド ド ヴィンヤードを立ち上げました。当初は、DRCでもワイン造りの経験があるジャン・ローラン・ヴァシュロン氏が、2002年からはステファン・ヴィヴィアー氏が醸造責任者を務めています。ステファン氏はフランス生まれで、ブルゴーニュでワイン造りの経験をした後、スイスやニュージーランドを経てこのハイド・ド・ヴィレーヌで働いています。
ハイド・ヴィンヤードはカーネロスに位置します。カーネロスはサン パブロ湾に近いため朝晩に霧が発生し、また海からの風が吹くためナパのダウンタウンよりも数度気温が低くなります。また、古代に河床であった浅いローム質土壌(粘土土壌で、砂礫を含む)のため、水分をキープすることができます。
除草剤や化学肥料、殺虫剤などは使用していません。そのため、土をこまめに耕す、堆肥を利用する、虫が避ける作用のある植物を植えるなど、自然の力を利用した栽培を行っています。
ナパのダウンタウンにある醸造所はとても小さな設備で、ステンレスタンク、コンクリートタンク、大樽、熟成樽が必要最低限の数だけこじんまり並んでいます。しかし小さいながら、グラヴィティシステムを採用するために特注の設備を用いるなど、細部にこだわりのある造りです。
テロワールを表現したワインを造るために、樽香を付け過ぎないようにしています。また、補酸などもせず、自然のままをワインに反映させるようにしています。