メリーヴェールMerryvale
メリーヴェールの早わかりポイント
- カルトワイン“ハーラン・エステート”を手掛けるウィリアム・ハーラン氏創業
- ナパワイン界のレジェンドが数多く関わってきた特別なワイナリー
- リーズナブルなカリフォルニアワインから、ナパ最高峰のアイコンワインまで豊富なラインナップが魅力。
ナパのレジェンドたちの意思を受け継ぐクオリティワイン
メリーヴェールは、テロワールに向き合った堅実なワインを造り続ける、ナパの家族経営ワイナリーです。有名ワイナリーが軒を連ねるナパのメインストリート、29号線沿いの一等地に位置しています。
創業は1983年。カルトワインとして有名な“ハーラン・エステート”を手掛けるビル・ハーランとそのパートナー達が、ナパのウルトラプレミアムワインを目指して立ち上げたのが始まりです。それ以外にも、多くのカリフォルニアワイン業界を率いてきたレジェンドがメリーヴェールに携わってきました。
現在はスイス出身のシュラッター・ファミリーがワイナリーを経営。ワイナリー誕生から長い年月が経ちましたが、所有者が移り変わる中でも、生産するワインの一貫したクオリティと良心的な価格は変わることはありません。
メリーヴェールの歴史
メリーヴェールの歴史を語るには2つのワイナリーの成り立ちについて説明しなければいけません。
モンダヴィの父が運営していた歴史的ワイナリー
1つ目のワイナリーは、サニー・ヒルワイナリー。1933年の禁酒法廃止直後に最初に建設されたナパ・ヴァレーの誇りとも言える象徴的なワイナリーです。
イタリア出身のジャック・リオダが創設。4年後にはロバート・モンダヴィの父、セザール・モンダヴィが共同オーナーとなり、ワイナリーの名をサニー・セントヘレナに改名。年間100万ガロンのワインを生産するまでに成長しました。
ロバート・モンダヴィと、弟のピーター・モンダヴィがワインメイキングのキャリアをスタートしたのも、このワイナリーだったそう。モンダヴィ家は、ナパ・ヴァレーで初めてワイン造りに低温発酵を大々的に取り入れましたが、その低温発酵の試みを最初に行ったのはこの地であったといいます。
サニー・セントヘレナ・ワイナリーの運営は、順調に成功してましたが、モンダヴィ一家がチャールズ・クリュッグ・ワイナリーの運営に集中することを理由に、残念ながら売却されてしまいました。
起業家ウィリアム・ハーランが立ち上げた夢の一歩
2つ目のワイナリーの始まりは、サニー・ヒルワイナリーの創設から50年近く経った1980年代。起業家として成功をおさめていたウィリアム・ハーランが、『ナパで最高のワインを造る』という夢を実現するため、不動産事業のパートナーであるピーター・ストッカー、ジョン・モンゴメリー、ロビン・ダニエル・レイルが共同出資という形でワイナリーをスタートさせました。
このワイナリーの名前こそが“メリーヴェール”です。
メリーヴェールという名前は、ウィリアム・ハーラン達が経営する不動産会社『パシフィック・ユニオン・ランド・カンパニー』が当時入居していた、サンフランシスコのオフィスビルに由来します。そのビルには「メリーヴェールアンティーク」という骨董品店が入居していたため、ウィリアム・ハーラン達は当時、このオフィスのことをメリーヴェールと呼んでいたといいます。
メリーヴェールは、設立から数年の間、醸造施設を持っていなかったため、ロンバウアーの醸造施設を借り、栽培家から購入したブドウからワインを製造していました。
2つのワイナリーの歴史がひとつに
さて、ここまで時代も創設者も異なる2つのワイナリーの成り立ちを読んで混乱しているかもしれません。ですが、“サニー・セントヘレナ”と“メリーヴェール”は、このあと共に歩みだすことになるのです。
1986年、醸造施設を所有していなかったメリーヴェールは、新たに醸造施設を購入。これこそが、かつてモンダヴィファミリーが運営していた“サニー・セントヘレナ”でした。
とはいえ、かつて“サニー・セントヘレナ”であったその場所は少なくとも数年間はワインの貯蔵倉庫として使用されており、醸造はおこなっていませんでした。
この場所の改修を監督し、メリーヴェールの創設ワインメーカーとなったのが、のちにウィリアム・ヴェールとともに“ハーラン・エステート”や“ボンド”を手がけることになる若きボブ・レヴィでした。
こうして、歴史あるワイナリー“サニー・セントヘレナ”と、今やレジェンドとなったウィリアムハーランやボブ・レヴィが運営する“メリーヴェール”が一つの夢のようなワイナリーへと成長していったのです。
オーナーが変わってさらに進化するワイナリーへ
1990年代初頭、さらなる成長のため資金調達を目指して投資家を探していたウィリアム・ハーランが、友人を通して紹介されたのが、スイス人起業家であるジャック・シュラッターでした。
ワイナリーの運営に興味があったジャックはメリーヴェールの株式を50%取得し共同オーナーに。その後、メリーヴェールのビジネスは、ジャックのコネクションを得て販売のチャネルも増加し、順調に拡大していきました。
しかし、ジャックはそれだけでは満足できませんでした。1996年、「もっと積極的にブランド構築に取り組みたい。」と株式を100%取得し、単独オーナーに。
シュラッターファミリーの単独所有に変わった後は、自社畑の取得へと舵を切り、1996年には後の「プロファイル・エステート・ヴィンヤード」と知られるセントヘレナの東側の急峻な丘陵地に位置する畑購入。また、2003年には、カーネロスのスタンリー・ランチの区画を購入しています。
2008年にはジャックは会長に就任し息子のルネが社長兼最高経営責任者に就任。ルネは生産者との関係から販売管理まで、メリーヴェールの全てを統括しています。
ワインメーカーは2人。スターモントのワインメーカーは、2007年からスターモントに従事するジェフ・クロフォード。そしてプロファイル・コレクションとメリーヴェール・ヴィンヤーズは、ハーラン・エステートやボンドでキャリアを積んだアンドリューライトがワインメーカーを務めています。
また、プロファイル・コレクションのコンサルタントにはスター・コンサルタントのフィリップ・メルカを起用しています。
メリーヴェールに関わる多くのレジェンドたち
メリーヴェールの長い歴史の中で、多くのレジェンドがワイナリーに携わってきました。
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フィリップ・メルカ
ミシェル・ロランと並びスターワインコンサルタントとして知られる、フィリップ・メルカ。現在のプロファイル・コレクションのコンサルタントはフィリップ・メルカが担当しています。
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ミシェルロラン
数々の有名ワインを手掛けるスター・コンサルタント。ミシェル・ローランは、90年代にメリーヴェールのコンサルティングを、また最初期からハーラン・エステートのコンサルタントも担っていました。
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モンダヴィ一家
メリーヴェールの前身、サニー・セントヘレナワイナリーを運営していたワイン一家。カリフォルニアワインを現在の知名度まで押し上げたのは、モンダヴィ・ファミリーの功績が多大に影響しています。
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ロビン・ダニエル・レイル
歴史的ワイナリー“イングルヌック”オーナー、ジョン・ダニエルの娘。ロバート・モンダヴィの下でワインビジネスを学び、1982年に“ペトリュス”のクリスチャン・ムエックスと“ドミナス”を設立。時を同じくして、ウィリアムハーランらとともにメリーヴェールを立ち上げました。
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ウィリアム・ハーラン
メリーヴェールの創業者であり、カルトワイン“ハーラン・エステート”を造った人物。ハーラン・エステートの初期のワインはメリーヴェールの施設で造られていました。
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ボブ・レヴィ
メリーヴェールの創設ワインメーカーであるボブ・レヴィ。元々はロンバウアーでワインメーカーをしていました。メリーヴェールでは、醸造設備改修の監督や、自社畑の開発にも参加。ボブは、その後ウィリアム・ハーランとともにハーランやボンドを立ち上げます。
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デヴィッド・エイブリュー
デヴィッド・エイブリューは30年以上に亘り、スター栽培家としてトップを走り続けて来た人物。メリーヴェールのプロファイル・エステート・ヴィンヤードを立ち上げから10年にわたって管理していました。
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ジェイソン・パルメイヤー
弁護士業の傍ら、“カリフォルニアのムートン”を目指してパルメイヤーを創業したジョン・パルメイヤー。彼も、メリーヴェールで初期のキャリアを積んだ一人。また、妻ペイジ・パルメイヤーと出会ったのもメリーヴェールであったそう。
メリーヴェールのラインナップ
- プロファイル・コレクション
メリーヴェールのトップキュヴェ。プロファイルレッドワインは、初リリースの30年以上にわたって造られるメリーヴェールのアイコニックワイン。かつては、ボンド/ セント・エデン、メルバリーの畑のブドウが含まれ、ボンド創業のきっかけになりました。コンサルタントはフィリップ・メルカ、ワインメーカーはアンドリュー・ライト。 - メリーヴェール・ヴィンヤーズ
メリーヴェール・ヴィンヤーズはナパ・ヴァレーの畑にこだわり、ナパ・ヴァレーが生み出す品種の個性を最大限に引き出すシリーズ。自社畑から収穫したブドウに加えて、ナパ・ヴァレー各地の厳選した栽培農家と契約を結び、テロワールを重視したプレミアムワインを造っています。ワインメーカーはアンドリュー・ライト。 - フォワード・キッド
ナパ・ヴァレーの100 以上ある多様な土壌で育つ葡萄品種をブレンドしたマイナー品種の個性が生きる ユニークなシリーズ。ブランド名のFowardとKiddはそれぞれ土壌の種類を表しています。家族経営の小規模栽培農家と密接に協力しながら、様々な畑から葡萄を調達。ナパ・ヴァレーの厳選された畑のロットを組み合わせることで深みのある個性的なワインが造られます。品種構成はヴィンテージ毎に変わります。 - スターモント
「STARMONT」の名はメリーヴェール創業者のPeter Stocker, Bill Harlan, John montgomery の名前から命名。リーズナブルで高品質、フレッシュで、土地の個性を活かした、バランスが取れたワインを目指しています。現ワインメーカーのジェフ・クロフォードはこの信念に基づき、ナパ・ヴァレー、ノースコーストの適所の葡萄(自社畑+契約畑)でベストなワインを生み出しています。
メリーヴェールの自社畑
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プロファイル・エステート・ヴィンヤード
1996年に最初に取得した自社畑。セント・ヘレナの東側、標高300mの尾根に位置し、10ヘクタールの敷地にカベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド、カベルネ・フランが植えられています。1997年に、当時のワインメーカーであるボブ・レヴィとミッシェル・ローラン指導のもとに開発され、その後10年間デビッド・エイブリューが植樹とヴィンヤード管理を担当した畑です。
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スタンリー・ランチ・ヴィンヤード
1872 年にジョン・スタンリー判事によって設立された、カーネロスにある歴史的な 葡萄畑。カーネロスはナパ・ヴァレー最南端でサンフランシスコ湾からの霧と風の影響を強く受ける非常に冷涼なエリア。2003年にメリーヴェールが取得し、15ヘクタールある畑のうち、9ヘクタールにはシャルドネが、残りはピノノワールとシラーが植えられています。