ブラッケンブルックBlckenbrook
ブラッケンブルック早わかりポイント
- 小規模ながらも手作業のワイン造りにこだわるニュージーランドのブティックワイナリー
- サスティナブル・ワイングローイング・ニュージーランド(SWNZ)の認証、自然環境もワイン産業をも守るワイン造り
- 白ワインのほとんどは卵、牛乳、魚を使わない100%ヴィーガン
サニー・ネルソンでアロマティックワインを生み出すブティックワイナリー
ブラッケンブルックはニュージーランド南島の北端の町ネルソンで、非常にアロマティックなワインを生み出すブティックワイナリーです。
ネルソンは、年間約2500時間というニュージーランド最長の日照量を誇り「サニー・ネルソン」と呼ばれるほどの地域。十分な日照量を浴び見事に熟したブドウが、凝縮感がありきめ細かい質感の香り高いワインを生み出します。
ブラッケンブルックではダニエルとウルスラ夫妻がヴィンテージ毎の特徴を大切にした、手作業のワイン造りを行っています。
サスティナブル(持続可能)なブドウ畑で大切に育てたブドウは、ポンプを使わず自然の重力で移動させる「グラヴィティシステム」という方法で畑から醸造所へ運ばれています。ワイン造りにおいて、環境にも出来上がるワインにも負担をかけないよう工夫が施されているのです。
また、ブラッケンブルックはサスティナブル・ワイングローイング・ニュージーランド(SWNZ)の認証を受けているワイナリーです。
SWNZは1995年にニュージーランドワイン生産者協会によって設立された、ワイン造りにおけるブドウ栽培から醸造までの環境保全を目的とした認証プログラムです。求められる基準はとても厳しく、極力無農薬でブドウを栽培することはもちろん、醸造時にワイナリーから排出される様々な物質にも細かい配慮が必要になります。
ブラッケンブルックは健全な土壌と丈夫なブドウの木、そしてサスティナブル(持続可能)を重視して常にワイン造りに向き合っています。
ブラッケンブルックが生まれるまで
ブラッケンブルック(Blackenbrook)はダニエルの名字である「Schwarzenbach」のSchwarzがblackを意味し、bachがbrookを意味することから名付けられました。
スイスで生まれ9歳からニュージーランドで育ったダニエルは、イギリスで医療科学と微生物学を勉強していました。
しかし1990年代初め、ダニエルはワインメーカーになるという夢を実現させる為イギリスより帰国し、カンタベリーのリンカーン大学でブドウ栽培とワイン醸造学を学びます。資格取得後、ダニエルはヨーロッパの偉大なワインメーカーから知識と経験を吸収するため、各地を飛び回ります。
オーストリアのリースリングの巨匠「Weingut Hirsch」、ドイツの「Weingut Engelhof」で働いたのち、ゲヴュルツトラミネールとピノノワールに定評のある、スイスの生産者「Georg Fromm」の元で研鑽をつみます。
ダニエルがワイン醸造哲学を学ぶ中で、最も大きな影響を受けたのはアルザスの誰もが認める素晴らしい生産者『Olivier Humbrecht』です。オリビエはフランス人で最初にマスターオブワインを取得した人物であり、かつバイオダイナミックのパイオニアでもあります。オリビエは自身の膨大な知識と経験を全てダニエルに教えました。
帰国後、ダニエルはネルソンにある「Seifried Estate」でチーフワインメーカーを務めます。その後、2年間かけて探した土地でブラッケンブルックを設立。2004年に念願のファーストリリースを迎えます。
ブラッケンブルックのブドウ畑
ブラッケンブルックヴィンヤードはブドウ栽培に適した温暖な海洋性気候と粘土質の土壌。ブドウ畑は北向きのなだらかな斜面に20ヘクタールを所有しています。
現在ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ゲヴェルツトラミネール、シャルドネ、ピノノワール、そしてイタリアの赤品種であるモンテプルチアーノの7種類のブドウを生産しています。ブドウの樹は同じ品種でも多様な種類を植えており、ピノノワールは8種類のクローンを作っています。ブラッケンブルックでは健全な土壌、力強い樹、環境を破壊しない事に焦点を置いてブドウ畑の管理が行われています。
ダニエルは「密植はワインの香りを強める」と考えており、特にピノノワールに顕著な効果があります。その為、細心の注意を払って葡萄の樹を植樹し、1ヘクタールに3800本の樹を植えています。灌漑は行わず、地中深くまで根が張るよう促します。もちろん化学肥料や農薬は一切使用せず、オーガニックの海藻を原料とした肥料を用いています。
環境に配慮し未来を見据えたブラッケンブルックこだわりのワイン造り
ブラッケンブルックのワイナリー内は傾斜の高い方から順に、ワインメイキングの手順にそって作られている為、醸造過程でポンプを使用する必要がありません。タンク間の移送も全て重力で行えるようになっています。加熱及び冷却、洗浄処理には屋根の上の雨水を使用できるようになっています。
また、ブラッケンブルックの白ワインのほとんどは卵、牛乳、魚を使わない完全な無清澄ワインです。つまり100%ヴィーガンの白ワインと言えます。これらのこだわりは、全て品質の向上の為に行われているのです。ボトルは通常のものより若干質量の少ないものを使い、環境保護に役立てています。
ダニエルは、いつでも「より一層の品質の向上と、よりシンプルなワイン作り」を模索しています。「自然のプロセスへの干渉を最小限に抑えることで、ピュアで本物のワインを生み出す」という、ブラッケンブルックの理念がそのまま反映されています。
今のこだわったワイン造りを守るには約5000ケースの生産が限界です。それでもブラッケンブルックは「小さいこと、小さいままであること」に満足していると言います。生産量を拡大する余地はまだありますが、自分たちに忠実であり続けることがブラッケンブルックの信念なのです。