ロンバウアーRombauer
ロンバウアーの早わかりポイント
- 豊かな風味のオールド・アメリカン・スタイルでワインを造る数少ないワイナリー
- Wine Spectator TOP100に5回も選出される人気のカーネロス・シャルドネ
- カーネロス・シャルドネは全米ソムリエが選ぶ年間人気シャルドネTOP10常連
- ナパのカスタム・クラッシュ・ビジネスを確立し多くの有名生産者の第一歩に貢献
- 積極的かつ徹底したサステイナブルへの取り組み
古き佳きアメリカの薫りただよう深く複雑な味わい
ロンバウアーは、元パイロットのカーナー・ロンバウアーと妻のジョアンが設立したカリフォルニアの老舗ワイナリー。
多くの造り手が市場トレンドに合わせてワインのスタイルを変化させてゆく中、ロンバウアーは一貫した古き佳き豊かな風味が漂うオールド・アメリカン・スタイルのワインを造り続けている数少ないワイナリーとなっています。
ロンバウアーのワインは、カリフォルニアの名に恥じることなく、リッチで、豊かで、甘美で、果実味が前面に出ており、リリースしてすぐに楽しむことができます。
ちなみに創業者のカーナー氏は、1800万部以上を売り上げたアメリカの人気料理本「Joy of Cooking」の著者イルマ・ロンバウアーの大甥。また、自身のルーツであるドイツ・ラインガウでは、ワインと食事は切っても切れない関係。
そのため、ロンバウアーのウェブサイトでは、ワインと相性の良い料理のレシピが紹介されています。なかには、「Joy of Cooking」に掲載されている料理も。ぜひ、おすすめの料理とともに、ロンバウアーのワインをお楽しみください。
ロンバウアーのアイコンはなんと言ってもシャルドネ
ロンバウアーの手掛けるワインはどれも素晴らしいですが、特にシャルドネについてはワイナリーのアイコン的存在。『果実味があり、クリーミーな質感とバターのような後味の豊かなスタイルのワイン』として世界中のワイン愛好家に親しまれています。
評論家にも高い評価を受けており、1991年産のシャルドネが権威あるワインスペクテーターの年間TOP100にランクインしたことを皮切りに、現在までに5回もTOP100に選出されています。
またレストランでの人気も高く、2004年にロンバウアーのシャルドネが ワイン&スピリッツ誌“RESTAURANT POLL RANKING”シャルドネのトップ10に初めてランクイン。これは全米のソムリエを対象とした人気ランキングで、以降17年以上に渡って毎年のようにTOP10入り を果たしています。
ロンバウアーの歴史
1972年、空軍や民間航空会社のパイロットとして活躍していたカーナー・ロンバウアーは、妻ジョアンと2人の子供、2頭の馬、5匹の犬と共にナパ・ヴァレーへ移り住み、セント・ヘレナの丘の上に40エーカーの家を購入しました。
このときはまだ、ロンバウアー夫妻はワイナリーを始めるつもりはありませんでした。
夫妻がナパヴァレーに移り住んだ理由は、ナパヴァレーが自分たちが育ったカリフォルニアの小さな町『エスコンディード』のように農地が広がり、安全で子育てぴったりだと考えたからでした。
しかし、急成長を遂げるナパバレーのワイン産業を目の当たりにした夫妻は、すぐにワインに魅了されていきます。
1976年、民間航空会社のパイロットとして働くかたわら、ナパ・バレーのワイン・コミュニティで知り合ったビル・コリンズのパートナーとして、当時設立間もなかったコン・クリークワイナリーで働きはじめました。奇しくも、カリフォルニアワインが世界に知られるきかっけとなった有名な「パリスの審判」が行われたのと同じ年でした。
コーン・クリーク・ワイナリーでは、夫妻はゼロからワインビジネスを学ぶため、ワインメーカーと協力して、タンクの洗浄から瓶詰めラインの作業まで全て行いワイナリー運営の知識を得ました。
そして1980年、ロンバウアー夫妻は、コン・クリーク・ワイナリーの株式を売却。自分たちのワイン造りに投資することを決め、その年に最初のブドウを収穫。ロンバウアーとしてのワイン造りがスタートしました。
はじめて収穫したブドウは、スタッグス・リープ・ディストリクトのカベルネ・ソーヴィニヨン。シェーファーのワイナリーと自宅ガレージで最初醸造を行い瓶詰めは、スタッグス・リープ・ワインセラーズで行いました。
このとき、ロンバウアーの初代ワインメーカーとして共にワインを造ったのがロバート(ボブ)・レヴィ氏。のちにメリーヴェールやハーラン、ボンドの創設ワインメーカーを務める敏腕ワインメーカーです。
時を同じくして、妻のジョアンは今まで以上にワイン業界で多くの知識と経験を積むため、スタッグス・リープ・ワインセラーズの営業チームに加わりました。ジョアンはのちに、スタッグス・リープ・ワインセラーズで12年ものキャリアを積み、ナショナル・セールス・ディレクターを務めました。
1982年になると、ロンバウアーはセント・ヘレナの所有地でワイナリー建設に着手しました。夫妻は、建設資金を捻出するために、自分たちが必要な規模よりも大きなワイナリーを建設し、醸造施設を持たない生産者を支援する『カスタム・クラッシュ・ビジネス』を展開します。ナパでカスタム・クラッシュ・ビジネスを行ったのはロンバウアーが初めてでした。
ドミナスやスポッツウッド、ダックホーン、メリーヴェール、コリソン、エチュードといった、今やカリフォルニアを代表するワイナリーに成長した新進気鋭ワイナリーの拠点としてロンバウアーの醸造施設は活躍。カスタム・クラッシュ・ビジネスは、1982年から2008年まで続けられました。
このように、ロンバウアーはナパの錚々たるワイナリーと共に、この時代を支え合って成長してきました。
2008年にはインターンとして働いていた現ワインメーカーのリッチー・アレンがヘッドワインメーカーに就任。従来の方法に加えてオプティカル・ソーティング・マシン(光学選別機)や赤ワインの樽発酵など、今となっては当たり前となった技術も率先して導入しました。
現在では3種のオプティカル・ソーティング・マシンを使い分け、熟度以外にも色や形、サイズも選別してより完成度の高いワインを造ることに力を注いでいます。
ナパ・ヴァレー興盛の時代を生き抜いたカーナー・ロンバウアーは、2018年に83歳で他界。ナパ・ヴァレーのワインビジネスへの貢献、環境への取り組みは次世代へと継承され、現在も飲み手に愛されるワイン造りを生み出し続けています。
サステイナブルへの取り組み
ナパ郡はカリフォルニア州の中でも、環境への配慮や農業用地の保護を積極的に取り組むエリア。そのためナパでは、ナパ・グリーン認証プログラムという持続可能な農法や土壌保護、病害虫管理を行うプログラムを、地域や州、環境団体と協力して開発しています。
ロンバウアーも例外ではありません。ここでは最高のワインを造る事と同じくらい、ぶどう畑の環境保全を大切にしています。将来を担う世代のために可能な限りサスティナブルな方法を採用しており、ブドウ畑とワイナリーに対するナパ・グリーン認証を受けたワイン造りを続けています。
これ以外にも、魚や野生動物の生息地を守り水質改善に取り組む“Fish Friendly Farming Certified”の認証も受けています。
取り組みの一部
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太陽光発電
ナパヴァレーにある施設で消費される電力の60%を太陽光発電で賄っています。 - 鳥の巣箱設置
ロンバウアーの畑の中には、鳥の巣箱が設置されています。ブドウの根や茎を食い荒らすネズミなどのげっ歯類を捕食する、フクロウの住処となり、ブドウ樹を守っています。 - 羊の放牧
ぶどう畑に羊を放牧すると、雑草を食べることにより除草剤の使用を抑えることが出来ます。また草刈りのためにトラクターを使用する頻度も抑えられ、畑の土を固められる心配もなく、CO2排出量削減にもつながっています。 - 節水
一般的に1ガロンのワインを製造するのに6~14ガロンもの水が使用されますが、ロンバウアーでは2.4ガロンの使用に抑えています。灌漑の水は全て再生処理水を使用し、樽はスチームで洗浄。ブドウの木はセンサーにより水の必要度を測り、灌漑も最小限に抑えています。
その他に、ワインメーカーのリッチー・アレンが考案したステンレスの発酵槽「アポロ型タンク」にも注目。この発酵槽は、タンクの底部分になるにつれて、やや広がった形になっています。これにより、ポンプオーバーの回数が少なく済み、結果的にエネルギーの節約に繋がります。
また、機械の使用を減らすことによりタンク自体の寿命も長くなります。畑や醸造においてのエネルギーの節約や環境への配慮は想像以上で、頭が下がる一方です。